フィクション作品における女性リーダーの描かれ方と実際【データで比較してみた】

フィクション作品における女性リーダーの描かれ方と実際【データで比較してみた】

フィクション作品における女性リーダーの描かれ方と実際【データで比較してみた】|リアンブルーコーチング舎

フリーライターの小林なつめです。

ここ数年、「女性活躍」が叫ばれ始めてからのことだろうか。

映画やドラマなどのフィクションの作品に、「女性リーダー」的ポジションに就く人物が、よく登場するようになったように思う。

大企業の社長や自治体の首長、検事や弁護士、警察官(刑事)に外科医…実際には女性の割合がかなり低い地位や職業に、女性がキャスティングされている。主役、脇役は問わないので、必ずしも「意外性を狙っている」わけでもなさそうだ。

このような女性リーダーの描かれ方にリアリティがなさすぎて、私はつい「そんなわけない!」「これって皮肉?」などと、頭の中でツッコミを入れながら見ている。

でも、実際のところはどうなのだろうか?フィクションで描かれがちな女性リーダーの実際を、データから紐解きたい。

【社長】
58万4130人 全体の14.7%

参考:東京商工リサーチ「全国女性社長」調査(2022)

【上場企業の社長】
46/3887社 全体の1.1%
参考:東京商工リサーチ「全国女性社長」調査(2021)

【自治体の首長】
都道府県の女性知事2/47人 全体の4.3%
政令指定都市の市長1/20人 全体の5%
その他市町村長39/1721人 全体の2.3%

参考:内閣府男女共同参画局「女性の政治参画マップ2022」

【法曹三者】
① 裁判官 全体の23.0%(2020年12月)
② 検察官(検事) 全体の26.0%(2021年3月)
③ 弁護士 全体の19.4%(2021年9月)
法曹三者の平均 22.8%

参考:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書令和4年版」

【警察官】
全国平均10.6%(2021年4月)
参考:朝日新聞デジタル「女性警察官の割合全国ワーストなぜ? 福岡県警の特殊な理由」

【外科医】
全体の7.8%(2020年12月)
医師(診療科問わず) 全体の23.8%
厚生労働省「令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

調査の結果、女性リーダーの実際の人数(割合)はやはり少ない。大企業(上場)の社長はたった1.1%。首長は全体で3.9%。外科医は7.8%、警察官は10.6%だった。この分野では、私の想像以上に、理想と現実の乖離が見られた。

一方で法曹三者は22.8%、医師全体で23.8%と、私が思ったよりも女性の割合が大きな分野もあった。しかしそれでも20%前半にすぎない。

フィクション作品に普遍的に描かれる女性リーダーは、実際にはかなりのレアケースだと分かる。

フィクションの世界に描かれているのは、現状の日本社会が目指すべき、理想の世界だ。少しずつではあるが、日本の女性リーダーは軒並み増加傾向にある。

実社会がフィクションの世界に追いつく日は、そう遠くないのかもしれない。

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