感情史に見る男女差。女性が感情的だとされる理由を考えてみた

感情史に見る男女差。女性が感情的だとされる理由を考えてみた

感情史に見る男女差。女性が感情的だとされる理由を考えてみた

フリーライターの小林なつめです。

 

女性は「怒りっぽく、感情的な生き物だ」という、もっともらしい言説がある。
このような考え方は、当事者である女性の間でさえいまだに根強く支持されているが、実は18世紀のヨーロッパ社会がルーツとなっているようだ。

 

近年「感情(史)研究」が、さまざまな分野で注目を集めている。
2018年出版の『歴史の中の感情 失われた名誉/創られた共感』では、感情史研究の第一人者でありながら、ジェンダー史の専門家でもあるウーテ・フレーフェルト氏が、女性と「怒り」という感情の関係について言及している。

元来、社会における感情表現には、暗黙の了解としてのルールがある。
これはそれぞれの社会や組織に属するマジョリティが築き上げたものだが、かつてのヨーロッパであれ、現在日本であれ、マジョリティ=「成人男性」と考えて差し支えない。

かつて怒りは男性的な感情だとされていた。しかしだんだんと感情の自制に重きが置かれるようになった。
さらに感情の制御は成人男性にのみ可能で、女性や子どもにはできないという論調が主流となった。結果として現代に続く、感情の男女二元論が確立していったのだ。

感情史に見る男女差。女性が感情的だとされる理由を考えてみた|リアンブルーコーチング舎

しかし科学的知見からは、感情や論理的思考に性差があるとは認められていない。
ただ一点、心理学的に「共感性は女性の方が高い」とされているのみだ。(「共感の性差に関する文献研究(Lennon&Eisenberg,1987)」)

つまり女性が男性よりも「怒りっぽく、感情的」だという根拠はない。
それなのに女性は感情的だといわれるのは、「女性が『普通の声』で話しても、男性に聞いてもらえない」という状況が積み重なり、結果として仕方なく声を大きくしたり荒らげたりしなければ、ならなかったからではないだろうか。

がんばって”感情”を使ってパワーを高めたにも関わらず

「そんなに怒らなくても」
「これだから女性は…」

という反応をされてしまうのかもしれないと。

 

一方で、これは話し方や言葉遣いなど、人の感情表現を指摘したり非難したりすることで、その発言の信憑性の低さをそれとなく伝える「トーン・ポリシング」が起こりやすい。トーン・ポリシングとは、発言内容そのものではなく、発言の仕方にスポットを当て、論点をすり替える行為をいう。

トーン・ポリシングは男性から女性に、健常者から障害者に、つまりマジョリティからマイノリティに用いられる傾向にある。
トーン・ポリシングはもっともらしい批判で、本来なすべき議論を遠ざけ、主張する者の口を封じる。

「もっと言い方ってものがあるだろう」
「そんな風に言われたら、聞きたくなくなるよ」
「感情的に考えても、何にもならないよ。もっと冷静に伝えたら?」

日頃から話を聴く姿勢は大事だが、お互いに発言を言葉のままに”感情的に”受け取るのではなく、自分も相手も

どうしてこのような言い方になっているのか?
それを生み出した環境は何なのか?

と対話していけたら、もっとイノベーションは進んでいくだろうと思うのだ。

【参考サイト】
女性が「怒る」ことになぜ社会は不寛容なのか、その歴史的経緯(現代ビジネス)
男脳 vs 女脳?─ 感情処理における行動と脳の性差
男性脳と女性脳、そしてAI(MAGAGINE SANYO CHEMICAL)
トーンポリシングの意味は何か?「保育園落ちた日本死ね」等シチュエーション別に解説(ビジネス+IT)
Twitterで「罵声はやめてほしい」と訴えると「トーンポリシングだ!」と怒る人たちは正しいか(文春オンライン)
「冷静に」なんてなりません!

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