【本レビュー】臆せずに一人の人間として声をあげよう「男女格差後進国」の衝撃:治部れんげ著

【本レビュー】臆せずに一人の人間として声をあげよう「男女格差後進国」の衝撃:治部れんげ著

【本レビュー】臆せずに一人の人間として声をあげよう:「男女格差後進国」の衝撃治部れんげ著本日の本レビューは、「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

衝撃!って、このタイトルの方が衝撃で、テレビでいうとインタビューされている人の声が加工されているかのような、ちょっとヤバい情報さらけ出してしまってますのような、そんなイメージを与える(?)かもしれませんが(私だけか、、、)中身は至って普通です。というよりも、とてもわかりやすく書かれている。

私がこの本を手に取ったきっかけは、宮城県中小企業家同友会の女性部会の活動の一つとして、「今の女性部会の存在意義とは」を探るために、まずは勉強しよう!ということで、課題図書として、この本が選ばれたから。

その時にはまだ「ジェンダー」という言葉に、食わず嫌いを起こしていた時でもあるので、やっぱりこわごわと手に取ったのだけど、何も心配はいらなかった。
(とはいえ、一般的にニュースなどで扱う「日本〇〇位」というところは、すっ飛ばしたけど、、、)

 

「男女格差後進国」の衝撃 ~無意識のジェンダー・バイアスを克服する~(小学館新書)
【本レビュー】臆せずに一人の人間として声をあげよう「男女格差後進国」の衝撃:治部れんげ著

思い切り主観的ではあるが、この本で「なるほど」と思ったことは、以下

私は日本の男女格差について、次のように考えています
1.本人の努力以外で決まってしまう男女格差が今の社会には、ある
2.男女格差位の実情は、世代や地域によって異なる
3.都市部より地方、10代、20代より40代以上の人が男女格差を経験している
4.男女格差は個人の尊厳を損なう人権問題であると同時に、日本の経済成長を阻害する要因でもある
5.ただし、ここの男性が「悪者」なわけではない
6.男女格差を生み出す「ジェンダーに基づく偏見」は男性にとっても有害
7.これは、男女が協力して取り組むべき課題である
8.仕事や家族形成については、個人の意思決定を尊重すべきで、独身、カップルだけの世帯、専業主婦/主夫家庭、共働き子育て等、何を選ぶかは当事者が決めれば良い

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

「1.本人の努力以外で決まってしまう男女格差が今の社会には、ある」の言い切りは、気持ちがいい。
私も、そんなにないと思っていた一人だが、学ぶほどに「慣らされていた」だけだと気づいた。
または、気づかない振りをしていた40代以上である。

国内の男女格差を測る場合、大卒女性でも自分で家事育児をすることが多い日本と、大卒女子がケア労働を安く外注している途上国では、後者の方が男女格差は小さく見えるのです。これが目指すべき姿かというと、私はそうは思えないのです。

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

これも改めて目からウロコ。アメリカドラマが好きでよくみているが、「シッター」さんがいる。
学生がアルバイトでやっていたり、移民の女性がやっていたり。
それでも苦労している姿がよく描かれている。

でも、日本にはそういう文化や思想がない。給与格差をも作れない。
だから、どんな立場の人も自分でやらなくてはならないと、思い込んでしまっている。

究極的だけど大卒女子は、新卒からキャリアを無駄にしないためにずっと働き続けること、必ずケア労働の支援を受けること。と決まってたらどうだろう? 親たちはどう判断する? 企業はどう判断する? 本人は何を選ぶ?

部下や後輩に仕事を教える時、男女問わず能力を見たり、女性が少ない分野なら、意図的に女性候補者を探したり、といった行動を取れば、現実を変えることができます。

(中略)

もし、みなさんの中に、チーム編成や委員会の構成員を決める権限を持っている人がいらしたら、男女半々にしてみてください。女性が発言しやすくなるだけでなく、男性も、これまでと違う切り口の発言をしやすくなると思います」

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

これを読んで、私は行動が変わった。女性だからと遠慮せずに、どんどん前に出て行ったり、女性に声をかけていったりしはじめた。

先日もとある勉強会で、それまでテーマに挙げたことのない「ジェンダーバイアス」について、「ダイバシティ」や「BCP(事業継続計画)」の視点で、人を集めた。
それまで、参加したことのない女性社員さんも来てくれ、会場の雰囲気は大きく変わった。

同じように、私が所属している女性部会にも、男性に足を運んでもらえるように、声をかけている。
男性も女性だらけの中では、同じように発言はできないのはわかっているが、女性だけで集まって
議論をしている限り、お互いの格差とジェンダーバイアスへの理解は深まらないと、思っているから。

2019年6月末、大阪でG20首脳サミットが開かれました。ここで20カ国・地域のトップが合意した「G20大阪首脳宣言」に、ジェンダー平等が詳しく書かれていたことを、ご存じでしょうか。

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

はい、まったく全然知りませんでした・・・。

G20には公式のエンゲージグループがあり、専門的知見を生かしてG20に政策提言をしています。例えば労働組合によるL20、科学者によるS20、経営者によるB20などと並んで、女性によるW20というグループがあります。

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

はい、まったくまったく全然知りませんでした・・・。

なんということ!世界や日本のジェンダーについて、話し合うグループがあったとは!?
だから、ここに来て日本も「ジェンダー格差」「男女格差」が表面化されることが、
多くなったのだろうか? ただ、「〇〇位」というだけでなく、「おたくは何やってるの?」って
訊かれるのだから、それはさぞ冷や汗ものだったに違いない。

(余談だけど、W20を知ってすぐに調べて吉田晴乃さんのことも知ることができました)

 

さて、この本レビューの最後は、これ。

「試験だと女性の方が優秀なんだけど、男性は後伸びするから」

これが差別だと気づいていない人が、たくさんいます

「男女格差後進国」の衝撃(治部れんげ著)

はい!はい!はい!はい!私です!!!

ぜんぜん気づいてなかった。本気で、男女の能力の違いだと思っていた。
40代以上は、ジェンダーに対する意見は、慎重にした方がいい。もはや、前提が違うんだと。

 

ということで、こちらの本も多くの視点を得ることができました。

タイトルに引かずに、ぜひ手に取ってほしい1冊です。

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