社会保険適用拡大でどう変わる?「扶養の範囲」と「キャリア」の狭間で悩むなら

社会保険適用拡大でどう変わる?「扶養の範囲」と「キャリア」の狭間で悩むなら

社会保険適用拡大でどう変わる?「扶養の範囲」と「キャリア」の狭間で悩むなら

フリーライターの小林なつめです。

結婚や出産を機に仕事を辞め、一旦は家事や子育てに専念。その後ひと区切りついたころに、また社会に出て働くという女性は多い。中でもよくあるのが、まずは配偶者の扶養内で、パートから社会復帰するというケースだ。

来たる2022年10月に、パート社員を対象にした社会保険適用拡大が行われる。これまでは501人以上の会社が対象だったが、101〜500人規模の会社まで適用されることとなった。さらに2024年には51〜100人規模の会社にまで拡大される予定だ。

対象者は週に20時間以上働いている、月収8.8万円(年収106万円)以上、雇用期間2ヶ月以上(見込み含む)のパート社員(学生を除く)だ。これまで、社会保険上は年収130万円まで扶養の範囲内で働けたが、これからは106万円までとなる。

適用範囲拡大のメリットは、仕事をする上での保障が手厚くなることや、将来もらえる年金が増えること。一方のデメリットは、保険料の負担が発生、給与の手取り額が約15%減ることだ。家計への影響は避けられない。しかも、これまでと同じように働くと「働き損」になってしまう可能性があるため、働き方の見直しをする方も多いだろう。

「働き損」になるような働き方がしたくない場合、仕事を減らすか増やすか、どちらかの選択をしなければならない。もし仕事量を増やしたくないなら、仕事をセーブする必要がある。でも「仕方ない」という、そのひと言で仕事を減らしてしまう前に、少し考えてみてほしい。

もちろん仕事はお金を稼ぐためのものだ。特にパートで働いている場合、家計の足しや貯金を目的にしている方が多いだろう。でもお金を目的に働いていたとしても、仕事で得られるものは賃金だけではないはずだ。将来的なキャリアを見通せば、今の仕事の経験は「未来の自分への投資」になると考えられないだろうか。

 

人生100年時代の現代。昔なら現役を引退するであろう年齢でも、多くの人が働いている。お金のために仕方なく働くのか、お金を稼ぎつつ毎日楽しく働くのか、どういうスタンスで働くかによって、日々の充実度は変わってくる。誰もが「できることなら、嫌々ではなく、楽しく前向きに働いていたい」と願っているはずだ。

将来へのロードマップを描けるのは、今このときだけだ。今日の仕事は明日の仕事、そして数十年後の仕事に繋がっている。ただなんとなく働くのではなく、将来の自分になるべく多くの選択肢を残せるよう、働き方を見直してみよう。


ー多賀から一言ー

社会保険に適用させるかどうかは、企業にとっては人口減少による採用難を、どう乗り切るかの問題にも繋がってくる。
会社は働いて欲しいと思っていても、働く側が「働き損」だと感じてしまえば、人手不足は解消しない。
ただ長時間働いてもらうだけではなく、働く環境づくりや、将来のキャリアビジョンを整えることなど、企業側が取り入れることも、これからの日本の企業が存続できるかどうかの命題だと感じている。

 

【参考サイト】
2022年10月からの社会保険の適用範囲拡大~今から考えるべきポイント | 勤怠打刻ファースト
2022年10月適用!社会保険適用範囲拡大で企業が確認すべき4つのポイント | 内田洋行ITソリューションズ
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