あなたの能力発揮を邪魔しているのは、自分自身かも?!ステレオタイプ脅威の影響とは

あなたの能力発揮を邪魔しているのは、自分自身かも?!ステレオタイプ脅威の影響とは

あなたの能力発揮を邪魔しているのは、自分自身かも?!ステレオタイプ脅威の影響とは

フリーライターの小林なつめです。

 

男女平等が叫ばれて久しい昨今。現代を生きる若者たち、中でも女性たちは、男女二元論(ジェンダー・バイナリー)からの解放を強く願っているのではないだろうか。

実際「男性だから」「女性だから」という刷り込みが、社会に及ぼしている悪影響は計り知れない。

その1つに「ステレオタイプ脅威」がある。
ステレオタイプ脅威とは、人が自分の所属する社会や組織のステレオタイプ(偏見)を意識すると、本来の実力が発揮できなくなってしまうという現象を指し、社会科学の分野で注目されている。
ステレオタイプ脅威の実験としては、人種による例が有名だが、ジェンダーの例にも事欠かない。

 

例えば小学生の頃は女子の方が総じて成績が良いのに、中学に上がる頃には男子より悪くなる」という現象があるが、この原因もステレオタイプ脅威ではないかと考えられている。

「成績のよい女子は、周囲から嫌がられる・嫌われる」という風潮や、「女性はどんなに頭がよくても、男性と同じようには活躍できないのだから、努力しても無意味」という社会からの刷り込みが、ステレオタイプ脅威となるためだ。

また、学生時代のスクールカーストや、TVのタレント、女性アイドルなどの扱われ方などから受ける、「女子はかわいくなければならない」という風潮や刷り込みも、あまりに強い。

2018年に出版されTwitterで話題になったのが、女児向けの『おしゃカワ!ビューティー大じてん』だ。「モテ女子へのステップ」というテーマで、男子との会話テクニック「さしすせそ」が紹介されている。

このような、いわゆる「モテテク」は、昔から男性を立てるための女性の処世術として培われてきた。「女性としての役割」として世間から押し付けられる、家庭や職場における男性への気遣いやケア。それがモテテクや女子力に言葉を変え、今なお存在し続けている。

このような男性ウケを目指す「テクニック」が、前途ある女の子向けに発信されてしまうとは、時代錯誤も甚だしい。「さすがジェンダーギャップ指数が先進国の中で最低レベル(2021年時点で156か国中120位)を誇るだけある…」と、とても残念な気持ちになってしまう。

このような偏見に影響を受け、女性たちは幼い頃から知らず知らずのうちに、自分の素質や能力を高めたり、存分に発揮したりできなくなる傾向にある。

「女性だから〇〇」という刷り込みを内面化し、本来の自分の能力や強み、魅力を封印してしまうのだ。

それは自分で自分に暗示や呪いをかけてしまうようなものかもしれない。

しかし、社会や組織でステレオタイプ脅威に晒されていても、自分の声に耳を傾け、自分の感性を信じるように努めることはできる。

必要以上に自分で制限をつくらないように気を付けていれば、のびのびと自分の翼で羽ばたいていけるのではないだろうか。

【参考サイト】
「女はバカな方がいい」という時代の終焉|最所あさみ|note
「嫁ブロック」の陰に隠れた「彼氏キャップ」の罠|最所あさみ|note
ステレオタイプ脅威 | 社会心理学
「黒人は白人より学力が低い」と意識すると実際に成績が下がる「ステレオタイプ脅威」を解消するには相手の「ナラティブ(物語)」を変えることが重要【橘玲の日々刻々】
ステレオタイプの脅威とは?労働生産性を低下させるステレオタイプ
脳科学者・中野信子が解説。“ジェンダー”の枠から飛び出して自由になる、頭と心のつくり方。 | Vogue Japan
<炎上考>モテるために女の子は自分を下げるの?無意識の偏見を子どもに植え付ける「女のさしすせそ」 吉良智子
「『さしすせそ』のような気遣いテクは誰のためにもならない」 転ばぬ先に知っておきたい「女子力」や「非モテ」について
「共同参画」2021年5月号 | 内閣府男女共同参画局

 

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