フリーライターの小林なつめです。
「ダサピンク現象」を、知っていますか?
「ダサピンク現象」は「「女性はピンクが好き」「かわいいのが好き」という固定観念から生まれた商品やサービスが、当の女性消費者にとって魅力的でない(むしろダサい)という現象」です。
「ダサピンク現象」の名付け親である宇野ゆうか氏は、自身のブログで「ピンクというのは、実のところ、「女性が好む色」というよりは、「女性(用)であることを表す色」なのではないだろうか。信号の赤が「止まれ」、青が「進め」を表しているように、ピンクは、女であることを表す記号としての色なのではないだろうか。」と述べています。
(引用:残念な女性向け商品が作られてしまう「ダサピンク現象」について)
私もこの意見はもっともだと思います。私自身、長年ピンクには苦手意識があり、それはピンクという色を「女性用」だからと押し付けられることへの嫌悪感からきているからです。
女だというだけで否応なしにピンク色の服を着させられる場面は、意外にも日常によくあるので、そのたび「着たくない!」という気持ちをこらえて、着用しています。
例えば乳がん検診を受けたとき。産院で子どもを産むとき。検査着や分娩衣は大抵ピンクです。「女性=ピンク」という固定観念は現代でもなお根強いようで、若い医師の個人クリニックであっても、イメージカラーや内装をピンクで統一しているケースがよくあります。
ここで注意してほしいのが、私を含め「女性はピンク色が嫌い」「ピンクという色をダサいと思っている」わけではないこと。私も、押しつけのピンクを敬遠しているだけで、中には「かっこいいピンク」も存在するのではないかと考えています。
私にとって、「かっこいいピンク」という言葉から、真っ先に連想するのは劔樹人氏です。
「ピンクは女の子しかダメ」と言い始めた3歳の娘に、「男の子がピンクを好きでもいい」と身をもって伝えるため、保育園の送迎や家にいるときにはピンク色の服を着ることにしたというエピソードは、とても印象的でした。
ピンク色大好きな娘がついに「ピンクは女の子しかダメなんだよ」と言い出しました。巷に溢れるジェンダーバイアスに幼児はもろに影響を受ける。なので、「男の子がピンク好きでもいいんだよ」と伝えるため、私は保育園の送り迎えや家でしばらくピンクばかり着ることにしました。 pic.twitter.com/28ni7UKxnU
— 劔樹狼 (劔樹人) (@tsurugimikito) November 2, 2020
最近では、福音館書店の子ども向けの月刊誌「たくさんのふしぎ」の2024年3月号として「かっこいいピンクをさがしに」が刊行されています。
ピンクが大好きな小学生の娘を持つ作者が、「ピンクはかわいい」と言う娘に「かっこいいピンクもあるよ」と伝えるために「かっこいいピンクを探しに」いくという内容の本です。
作中では、アートやファッション、建築、歴史など、さまざまな角度から、ピンクの魅力が紹介されています。自ら好んでピンクの服を選んでいるという男性や、ピンクの制服を着て笑顔を浮かべる、ウガンダの男の子も登場します。
「ピンク=女の子の色・かわいい色」という概念を打ち破り、「かっこいいピンクもある」「男の子や男性が身に付けるピンクだって、とても素敵だ」と、教えてくれる本でした。
今回の記事を書くにあたって、私は、ずっと苦手意識のあったピンクという色について、初めて向き合ったように思います。
その結果、さまざまなピンクと出会うことができ、私も「ダサピンク」のような「あてがわれたピンク」ではなく、「自分で選べる」あるいは「自分でもかっこいいと思えるピンク」なら、挑戦してみてもいいと思えました。
手始めに、家族全員の歯ブラシを、さまざまな色味のピンクで統一してみたところです。
【参考】
■ピンクは女の子しかダメ?娘に示した劔樹人の行動 – 芸能 : 日刊スポーツ