フリーライターの小林なつめです。
以前「目指すは「ワンオペ育児」の撲滅!ゼロコミット男子、イクジナシ夫の実態とは?」の記事で主張した通り、私は「ワンオペ育児絶対反対派」だ。ワンオペ育児には、親の心身を疲弊させ、親自身はもちろん、子どもの命をも脅かすリスクがある。
しかし、日本では、6歳未満の子どもを持つ男性のうち、なんと7割もの男性が、妻にワンオペ育児をさせているというデータ(2019年調べ)があり、多くの母親たちが、日常的にワンオペをしているようだ。
先日、SNSでたまたま見かけ、ほしみみさんという方の「休日ワンオペ育児50時間」と題された動画を見た。
ほしみみさんは、私と同世代で、30代の女性だ。共働きで年子の兄弟(2歳と1歳)を育てており、普段から日々の育児に関する動画などをYouTubeにアップしている。
今回私が見た動画は、彼女が週末の2日間、ワンオペで子ども2人と過ごした、リアルタイムの記録だった。
ほしみみさんのおうちでは、ワンオペが常態化しているわけではない。今回は「誕生日プレゼントは1人の時間が欲しい」という夫に、2泊3日の「時間」をプレゼントするということで、ワンオペを引き受けたのだという。
余談だが、「誕生日プレゼントに1人の時間をリクエスト」…というところで、ほしみみさんの夫が、かなり主体的に育児をしている日常が垣間見える。育児中の親が1人の時間を欲しがるのは、育児当事者にとっての「あるある」だからだ。
さて、動画の中身はというと、タイトル通り、ワンオペ育児の時間が淡々と映し出されていく。例えば1日目は、子どもたちに朝ごはんを食べさせ、室内遊びに付き合い、お昼ご飯、お昼寝、おやつ、お散歩、お風呂…と進んでいく。
ほしみみさんは、1人で食事の用意や片付けなどの家事をしつつ、子どもの遊び相手、部屋の片付けなどで休む間もなく働き続け、時間が経つにつれ、疲れが色濃くなっていった。
特に2日目は、普段と違って父親がいないこともあってか、2歳の長男が朝から不機嫌で癇癪を連発。ほしみみさんはかなりきつそうだった。
しかしこの日の午後、一番忙しい時間帯である夕方に、ほしみみさんは東京都の「ベビーシッター利用支援事業」を利用して、あらかじめベビーシッターを頼んでいた。
シッターさんに子どもを任せている間、ほしみみさんは仕事をしたり、家事をしたり、お風呂の手伝いをしてもらったりして過ごし、利用後には表情がとても明るくなっていて、見ているこっちも涙が出そうなくらいホッとした。
シッターさんが帰った後、ほしみみさん本人も「リフレッシュできて、今、育児がすごく楽しい」と話していて、育児をするうえで、親の心の余裕ってやっぱり大切なんだなと再認識した。
疲れ切った表情で子どもと接するほしみみさんの姿は、一視聴者にすぎない私から見ても、とてもしんどそうだったからだ。
ほしみみさんは、シッターサービスの他にも、惣菜宅配や家事代行などのサービスを、日頃から利用しているそうだ。核家族、共働き世帯が当たり前の現代では、自分に合うサービスの活用が、親自身と子どものライフラインとなりうるという、よい実例だ。
夫や自らの仕事の状況で、どちらかがワンオペせざるを得ない状況であっても、このようなサービスを利用することで、少しは負担が軽くなるだろう。
そのためにも、両親ともにワンオペの大変さ、過酷さを、理解しておく必要がある。どちらか片方に自覚がないと、サービスの利用を反対し、パートナーにワンオペを強いる可能性があるからだ。
やはりまずはどちらか一方に家事育児をさせる、役割分担制はやめた方がいいだろう。お互いが日常的に家事、育児をして初めて、その大変さや喜びを共有できる。そうして初めて、対等なパートナーとなれるのではないだろうか。
【参考】
ほしみみさんの夫が誕生日プレゼントに2泊3日の1人旅行に行く間、50時間ワンオペする動画見た。おもちゃ永遠に片付けるシーンで全ママが泣くと思う。
そもそも1泊ではなく2泊ってすごない?私なら許せるだろうか。ほしみみさんいい女!— 度胸ちゃん (@erinyamnyam) October 6, 2023