【育児×キャリア シリーズ】
2人の幼児の現役ワーママライターによる体験談を基にした記事をお届けします。
「育休なしで産後の妻をサポートする方法 全4回」の第2回です。
フリーライターの小林なつめです。
「(1)産後クライシスとは?夫に知っておいてほしいこと」では、産後クライシスについてまとめた。次に、育児のどういった場面が、産後クライシスの引き金となるのかを考えたい。私が考える、産後クライシスのきっかけとなる場面は主に2つある。1つめは母乳育児、2つめは夜勤(夜間の赤ちゃんのお世話)だ。
出産直後に直面する、妻の産後最大の難関が「母乳育児」だと思う。「出ない」「痛い」「吸わない」と、ヒーヒー言いつつ、時に歯を食いしばり、涙を流して叫びながら(誇張ではなく事実、私の場合はそうだった)、赤ちゃんと二人三脚で乗り越える。軌道に乗るまでに3ヶ月ほどかかるのが普通だ。
この試練、残念だけれど夫に参加する余地はない。むしろ余計な口や手を挟むのはご法度。何も言わず聞かず、妻の話に「うん、うん」と全肯定で耳を傾けるべし。余計な口を挟んだが最後、その記憶は妻の脳裏に深く刻まれるだろう。もちろん場合によっては「完全ミルク育児」という選択もある。その場合は積極的に、ミルクの調乳・授乳を担当してほしい。
「夜勤」もかなり過酷な試練だ。生まれたての赤ちゃんは、昼夜を問わず寝たり起きたり。1〜3時間ごとに、空腹や不快などさまざまな理由を訴えて泣く。本来なら睡眠時間にあたる、深夜から早朝の時間帯でも、親は子が泣くたびに起きて、授乳をしたり、オムツを替えたり、抱っこをしたりしなければならない。
夜間は孤独を感じやすい。同じ家の中に夫がいる(何なら隣に寝ている)にも関わらず、暗闇の中、一人きりで赤ちゃんの世話をしていると、寂しいような、虚しいような気持ちに襲われることがよくある。夫がいるのに自分だけが子どものお世話をしている現実に、「私がこの子をちゃんと育てなければ…」と、責任感からくる絶望や虚無感に似た気持ちを抱くこともある。
父親が育休をとっておらず、外で働いている場合、専業主婦だったり、育休中だったりする妻は、夫に遠慮して夜勤を一人でこなしがちだ。でも、夜間在宅であるならば、夫にも夜勤は担当できる。なぜ断言できるかというと、私自身、長子の産後6ヶ月で職場復帰し、それ以降も寝つきの悪い長子の夜勤を半年以上続けていたからだ。
できることがあるなら、ぜひやってほしい。たとえ妻が「大丈夫だから寝てて」と言ってくれたとしても、どんな形で妻を支えられるか、自分なりに模索してほしい。
妻に「してほしいことがあったら起こして」「言ってくれたらやる」と言うのは禁句だ。目の前の赤ちゃんのお世話に明け暮れる彼女たちには、夫の仕事の割り振りに、体力や時間を割く余裕はない。そもそも夫は一旦寝てしまうと、赤ちゃんの泣き声はおろか、妻の必死の声掛けにも、なかなか目を覚まさないのが現実だ。心当たりのある人は多いのではないだろうか。
前述したように、妻は夫に「大丈夫だから寝てて」と言いがちだが、このセリフは妻の建前や強がりの可能性も高い。だとしたら、妻本人も夫も知らないうちに、産後クライシスまっしぐらだ。阻止するための努力は欠かせない。
【関連記事】
育休なしで産後の妻をサポートする方法(1)産後クライシスとは?夫に知っておいてほしいこと
育休なしで産後の妻をサポートする方法(3)筆者の体験から、産後の妻のサポート方法を考える