フリーライターの小林なつめです。
「フキハラ」について、知っていますか?
「フキハラ」という言葉がある。これは不機嫌ハラスメントの略で、不機嫌な態度を示すことで、周囲に気を遣わせたり、不快な思いをさせたりすることだ。
私がフキハラについて初めて知ったのは、コラムニスト伊是名夏子さんの書いた記事「外では優しいのに家では不機嫌な夫。「フキハラ」には声をあげて、夫婦で話し合おう。」を読んだときだった。
記事を読んで私は、自分の感情が言語化されたように感じた。なぜなら私も、子どもを持ってからずっと、夫のフキハラに悩んでいたからだ。
うちの夫は機嫌が良くないと、口数が極端に減り、表情が乏しくなる。私は夫が不機嫌になると、いつもビクビクして、息も詰まるような心持ちだった。
何度か私の気持ちを伝えてはみたが、本人は「そんなことはない」「それが普通の状態」だと言って、認めようとしない。それから私は、夫が不機嫌になるたびに「大人なんだから、自分の機嫌くらい、自分でとってほしい」と不満を溜めるようになった。
自分の家で不機嫌でいることは悪いことではない
でもあるとき、ふと思った。「自分の家で、自分の家族といるときにまで、なぜ不機嫌でいることを許されないのだろうか」と。
不特定多数の他人とかかわって働く職場ならば、不機嫌であっても、それが伝わらないように隠すのが、社会人のマナーだろう。
けれど家庭であれば「不機嫌でいること」それ自体は、悪いことではない。家庭でまで気を遣い続けていたら、本人の気も休まらない。いつもニコニコご機嫌でいる必要はないのだ。
とはいえ、「自分が不機嫌であること」を盾に、周りに強く当たるのは、やはり良くない。不機嫌になりそうなときは、あらかじめ、周りに伝えておくと、安心感があるのではないだろうか。
不機嫌になりそうな原因があれば周りに伝えよう
例えば私自身は、体調不良など、不機嫌の原因になりそうなことがあれば、ほとんど全て夫に、そして時には子どもにも、積極的にシェアするようにしている。
自分が不機嫌な態度を見せたとして、その理由が分からないと、「自分に原因があるのかも…?」と周りを不安にさせたり、萎縮させたりしてしまう。でも理由が分かっていれば「今はこういう状態だから、一時的に不機嫌だけど、少しすれば良くなる」と、思えるはずだ。
不機嫌になりそうな原因があっても、それを隠して強がるのは、誰にとっても良い結果にはつながらない。結局は不機嫌になって、周りに八つ当たりをするようなら、本末転倒だ。
ハラスメント行為は相手への「甘え」だと考えよう
男性は特に「男は弱みを見せてはいけない」「男は強くあらねばいけない」というメンタルが強いようだ。周りの男性を見るにつけ、その我慢の結果、フキハラにつながっているケースが多いように思う。
でも、考えてみてほしい。そのハラスメント行為は、相手への「甘え」ではないだろうか。誰かに甘えず、強くありたいなら、時には自分から弱みを見せることも必要だ。
無理をせず、強情を張らず、勇気を出して自分の弱さを見せよう。そうすれば、誰かにハラスメントをする必要もなくなり、周囲との良い関係を保てるだろう。
【参考URL】
不機嫌な人が周囲にまき散らす「フキハラ」の正体 家庭内でも深刻、脳波研究でわかったメカニズム | 家庭 | 東洋経済オンライン
外では優しいのに家では不機嫌な夫。「フキハラ」には声をあげて、夫婦で話し合おう。 | ハフポスト コラム・オピニオン
夫の不機嫌ハラスメント「フキハラ」に泣きながら声をあげた。私たち夫婦はどう話し合ったか。 | ハフポスト コラム・オピニオン