【育児×キャリア シリーズ】夫に指摘された「母親の特権」…現代の父親の抱えるジレンマとは

【育児×キャリア シリーズ】夫に指摘された「母親の特権」…現代の父親の抱えるジレンマとは

【育児×キャリア シリーズ】夫に指摘された「母親の特権」…現代の父親の抱えるジレンマとは|リアンブルーコーチング舎

フリーライターの小林なつめです。

以前、フリーランスには育休がないため、早めに保育園入園を考えなければならないという記事を書いた。(「【育児×キャリア シリーズ】フリーランスには育休がない!仕事と育児を天秤にかける苦しさ」
最終的に私は、希望より早く入園申請をすることに決めた。でもこの決断をするまでは、赤ちゃんと少しでも長く一緒に過ごしたいから、入園を先延ばしにしたいと考えていた。しかし、結果的に早めの入園を決めたのは、夫のある言葉がきっかけだった。

私が保育園の入園時期に悩み、夫に相談した時の会話を簡単にまとめる。


私「仕事のことを考えると、早めに保育園に預けた方がいいとわかってるけど、踏ん切りがつかない。どうしたらいいと思う?」

夫「早く預けた方がいい。そもそも入園時期で悩むなんて、恵まれているからできること」

私「確かに経済的問題とか家庭の事情があれば、悩むことすら許されない。預けるほかないよね…」

夫「そう。『母親の特権』でもある」


「母親の特権」…今までその視点がなかったので、目から鱗だった。私はどちらかというと、母親よりも父親の方が得だと考えていたからだ。母親の働き方として、育休中はワンオペに疲弊し、仕事復帰後は仕事と育児の板挟み。時間に追われ、目まぐるしい日々を過ごすというスタイルが定着しているように思う。一方の父親は、未だに家事育児はそこそこに、仕事に邁進することが「許される」傾向にあり、私は正直、そちらの働き方の方が楽ではないかと思っていた。

でも、そもそもうちの夫は、子どもを持って以来、私に家事育児を押し付けて仕事やプライベートを優先したことは一度もない。加えて、夫は私以上に赤ちゃんや子ども、そのお世話が好きだ。でも、夫は私のように、仕事よりも育児を優先したり、どちらを優先させるか迷ったりすることはできない。それは彼が「母親」ではないからだ。

妊娠や出産、育児にはつらいことが付き物だけれど、幸せなことも多い。特に赤ちゃんと2人でいる時間は尊いものだ。妊娠中から母親には重い責任がのしかかるが、そのプレッシャーとうまく付き合い、夫や周囲の人たちの理解と協力が得られれば、産後、赤ちゃんのいる生活はとても楽しく幸せなものになる。

 

女性は「産む性」であり、産前産後の負担があまりに重いため、元の生活や心身、時間やキャリアを奪われるリスクが高い。しかし同時に「産まない性」の男性には得にくい、赤ちゃんとの時間を保証、優遇されているという一面がある。

また、最近では共働きの家庭が増えたこともあり、「父親も母親と変わらず、家事育児を担って当然」という価値観の男性が増えてきている。しかし彼らの父親や上司の世代には、妻が専業主婦で、仕事一辺倒だったという人が少なくない。ゆえに現代の父親は、母親以上に、家庭と仕事の板挟みになりやすい環境にあるのではないだろうか。

価値観の変わり目、過渡期にはジレンマが付き物で、まさに今、その潮目にあると感じる。次世代の子どもたちが子育てをする時代には、男女の別なく、本人たちの望むように育児や仕事が選択できるようになっていてほしい。そうすれば、現代の父親たちの苦しみや悩みも、大いに報われることだろう。

 

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