女性活用でも女性活躍でも変わらない? 女性活躍にうんざりしている女性たち

女性活用でも女性活躍でも変わらない? 女性活躍にうんざりしている女性たち

女性活用でも女性活躍でも変わらない? 女性活躍にうんざりしている女性たち

フリーライターの小林なつめです。

 

女性の社会進出が進み、男女が肩を並べて働くのが見慣れた光景となった現代だが、女性の働き方やキャリアについては、まだまだ課題が山積みだ。その一つに女性の働き方のキーワードともなっている「女性活用」、「女性活躍」という言葉がある。

 

「女性活用」という言葉が取り上げられるようになったのは、2013年頃。第二次安倍内閣の発足がきっかけだ。当時の安倍首相は、以下のような発言をしている。

「成長の要因となり、成果ともなるのが、女性の力の活用にほかなりません。」

(第68回国連総会における安倍内閣総理大臣一般討論演説 2013年9月26日)

「いまだに活用されていない資源の最たるもの。それが女性の力」

(世界経済フォーラム年次会議冒頭演説 2014年1月22日)

しかし「女性活用」という言葉が使われていたのはほんの数年のこと。
2016年に「女性活躍推進法」が施行されると、「女性活躍」という表現が好んで使われるようになった。これは「活用」と「活躍」、それぞれの言葉へのイメージが関係しているのではないか。

大辞泉によると「活用」という言葉の意味は
「物や人の機能・能力を十分に生かして用いること。効果的に利用すること。」

女性の機能や能力を「用い」「利用」しようとしているのは誰なのだろう。
そう考えてみると、女性の社会進出が進んでもなお、社会を牛耳っている男性たちの姿が浮かぶ。

「女性活用」に取って代わった「女性活躍」という表現にも、多くの働く女性たちが違和感を覚えているようだ。
Google検索で「女性活躍」というキーワードを検索すると、一緒に検索されやすいキーワードとして、「女性活躍 うんざり」という候補が表示される。
ほかにも「おかしい」「しんどい」「したくない」などのネガティブワードが続く。

「活躍」という言葉の意味は「めざましく活動すること」。あたかも女性たちが自発的に活動しているような表現だが、実際には女性の意思は反映されておらず、その点で「活用」と大差ない。

そもそも働く女性たち自身は「活躍したい」「させてもらいたい」と思っているのだろうか。
主体となる女性の思いが欠けているから、女性たちは「女性活用」と「女性活躍」、どちらの表現にもしっくりこないのではないか。

 

なぜ女性たちは「活躍」に消極的なのか。
そこには旧態依然とした男性中心の職場環境や、セクハラ・パワハラ・マタハラなどのハラスメント、家事や育児、介護などのケア労働とキャリアとの両立の難しさなど、女性ならではのさまざまな要因が絡んでいる。

社会や会社の枠組みを根底から覆さない限り、「女性活躍」の成功は難しいかもしれない。
しかし女性たちの向かう未来は決して暗いものではない。日本では女性の社会進出はまだまだ過渡期だ。
男女を問わない柔軟な働き方やキャリアの重ね方、それを認め、支えられる社会の在り方が期待される。


 

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【参考サイト】
「女性活用とか一度も言ったことはない」 サイボウズ 野水氏が語る「女性活躍」 サイボウズ流ダイバーシティ(前編)|ビジネス+IT
女性“活用”という上から目線の言い方 – All About NEWS
高田 朝子『女性マネジャーの働き方改革2.0』|慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)
女性活用って誰のため?資本主義が生んだ「女性間の分断」と希望 | しばられない生き方へのヒント
女性活躍促進に向けた取組について|平成27年6月|男女共同参画局総務課
働く女性 ほんとの格差|生かす人材|日経BizGate

 

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