世代交代で女性も脱台所!「内側からも」女たちの戦いは始まっている

世代交代で女性も脱台所!「内側からも」女たちの戦いは始まっている

世代交代で女性も脱台所!「内側からも」女たちの戦いは始まっている|リアンブルーコーチング舎

フリーライターの小林なつめです。

 

社会の「内側」の運営を担う女性たち

ジェンダーの問題提起をするにあたり、いつもは会社などの組織内、つまり女性たちの勤め先にあたる「ソト」の話を、テーマとして取り上げることが多い。

でも実際には「社会」はソトだけで成り立っているわけではない。「ウチ」とソトがあって初めて、社会は成り立つ。

そしてその「内側」、すなわち日常生活や家庭を主となり運営しているのは、女性であることが多い。

「ソト」ではそれなりの地位や肩書きを持ち、立ち働いている(はずの)男性たちは、「ウチ」ではまるで「お客様」のように座り込んだまま、何の役にも立たない…というのはよくある話で、私の実家の日常でもある。

物事の内側、それぞれの家庭の事情はプライベートな領域として、取り上げられることが少なく、問題提起にもつながりにくい。家の中の仕事である家事や育児は「瑣末なこと」として、長い間、課題として扱われる機会すら持たなかったのだ。

 

「内側」にいた女性たちが立ち上がる!2つのストーリー

しかし、時代とともに世代が変わり、内側にいた女性たちが立ち上がる時代がやってきているらしい。

SNSで話題になっていて、たまたま読んだ2つのコミックが、ズバリこのテーマを主軸としていて「この問題が漫画にまで取り上げられる時代がきたんだなぁ」と、時代の動きを感じた。

1つ目はツルリンゴスター氏の「彼女はNOの翼を持っている」だ。

主人公(つばさ)の母、時江は、夫の実家の集まりで、お酌をして回るよう促され、それを断る。「したくないからしない」。嫌だという自分の気持ちを、周りに知ってもらうための行動だった。

2つ目は大白子蟹氏の「みどりちゃん、あのね」。主人公(静香)の慕う叔母、みどりは父親の一周忌のために、沖縄の実家に戻ってくる。

そこで、休む間もなく立ち働く女性をよそに、座ったまま酒を飲むだけの兄や叔父に、「その行動は間違っている」と涙ながらに訴える。ついには甥や姪の力も借りて、男性たちに女性たちがしていた炊事や片付けを交代させる。

 

「女性ならでは」の迷いや苦しみを断ち切る勇気

これらの漫画に出てくるように、実際の家庭内や親戚の集まりなどでも、お酌や炊事は女性の役割と見なされることは多い。その光景に、違和感を抱いたことのある女性も多いだろう。

しかし、実際にその違和感を払拭しようとするのは、簡単なことではない。とても面倒で、勇気のいる行為だ。それでも時江やみどりは行動した。なぜか。それは、彼女たちのような女性をこれ以上増やさないためだ。

つばさや静といった、身の回りの女の子たちはもちろん、これから女性として生きていく全ての女の子たちに、これ以上「女性ならでは」の迷いや苦しみを感じさせたくなかった。いわば、「負の遺産を将来に残さないための行動」だ。

 

「些細な行為だから…」と違和感や不満をあきらめない

親戚の集まりにおけるお酌や炊事…これだけ切り取ってみると、些細な行為かもしれない。

けれど、せっかくの集まりで片方の性別は朝から晩まで準備と片付けに追われ、座ることすら許されない。方やもう一方の性別は、酒を飲んで騒ぐばかりで、準備や片付けには一切かかわらない…こんな不平等があるだろうか。

しかも、この不平等は一時的なものではなく、当然のこととして、日常生活にも入り込んでいるのだ。

「些細な違和感に過ぎないから」「自分が我慢すれば済むから」という時代は、過去のものにしたい。私たち人間は、あきらめた分だけすり減り、後にネガティブな感情しか残らないからだ。

人と人とがよりよい関係を築く。その第一歩として、「お互いが対等である」という意識が必要なのではないだろうか。

 

【参考URL】
「彼女はNOの翼を持っている」ツルリンゴスター
義実家でお酌をするよう促され断った母親につけられた名前は…【彼女はNOの翼を持っている#2】|子育て情報メディア「KIDSNA STYLE」
「みどりちゃん、あのね」大白子蟹

 

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