フリーライターの小林なつめです。
若い世代の価値観は、「モテ」に左右されがちだ。テレビや雑誌などのメディア、TwitterやインスタなどのSNSでも、「モテるための◯◯」というテーマは鉄板。いわく、異性にモテるためには、男女問わずそれなりの努力が必要らしい。
そして、女性がモテるためのキーワードは「女性らしさ」にある。女なら女らしいメイクや服装、スタイルをして、男にモテてこそ価値がある…というのが世間の一般論だ。
この価値観は幼い頃から、女の子たちに刷り込まれ、じわじわと内面化していく。学生時代、モテる女子がスクールカーストの上位に位置し、憧れの存在として持ち上げられがちなのは、その影響だろう。
もちろん友人関係においても、モテるかどうかや彼氏のあるなしが影響してくる。男性経験が豊富だったり、彼氏のいる女子の方が、そうでない女子より上だという価値観が、友人同士の関係性を左右するのだ。
でも一度考えてみてほしい。その価値観って、手放しに信じていいものなのだろうか。異性にモテたり、彼氏がいたりすることを、ことさらにステータスとして持ち上げる必要があるのだろうか。私にはそうは思えない。モテや彼氏の有無でステータスに箔を付けても、それは本人の価値に直結しないと感じるからだ。
ところで、「モテたい」という気持ちはどこからくるのだろう。他人から認められたい、評価されたいという欲求は誰にでもある。その恋愛バージョンがモテへの願望になってあらわれるのだろうか。
ただ、モテにこだわることは裏を返せば自信のなさの現れでもある。自己評価が低いから、代わりに誰かに認めてほしい。もし異性からモテれば、世間的な評価も高まるだろうと、打算的に考える人もいるかもしれない。
自分の価値を知っていて、自分に自信のある人は、周りからの評価にそこまでこだわらないはずだ。異性に評価された結果の「モテ」は本人の価値を上げはしない。もちろんモテること自体は悪いことではない。異性に好かれるということは、それだけの魅力を持っている証でもある。でも「モテるために努力をする」のは、本末転倒な感じが否めない。
それならば、異性に媚びて「女性らしさ」を磨く前に、自分自身と向き合ってみてはどうだろう。どうせなら女子力ならぬ人間力を高めるのだ。そうすれば自分に自信が付き、結果的に同性異性を問わず人を惹きつけるような魅力ある人になれるだろう。
人生にはモテよりも大切な価値観がある。人間関係にモテのステータスを介在させる必要はない。さまざまな人と関わる中で、相手の本質を見るようにしよう。そうする中で、あなただけの価値観が磨かれていくはずだ。
===
【多賀の追記】
メディア関係の仕事に携わっているKさんが教えてくれた情報でも、若い女性向けの雑誌の表紙に「モテ」という言葉が乱立する時期があったと知った。
今は、もう少し落ち着いて「自分らしさ」を打ち出しているところが多いともわかった。
若い時期の「らしさ」探しは、自分の興味と可能性を探している時期でもあるので、すぐに得ることは少ないだろう。私だって、今現在も「らしさ」が自分から出ているものか、周りから求められているものかわからなくなる時はある。
これまでの経験で一つ言えるのは、内面からくる「らしさ」はとても心地よく、無理も不安もないのに頑張れる。
「○○しなきゃ」などと考える間もなく、自動的に取り組んでしまうのだ。自分の欲求が取り組まざるを得ないと沸き起こる。
メディアに打ち出される価値観以外のものはたくさんある。その一端でも気づくことが出来たら、あなたは大きな可能性を手に入れられるだろう。
【参考URL】
「男ウケ」や「モテ」ってそんなに重要? 女性が女性に強いる妙な価値観。【アンコンシャスバイアスを探せ!】 | Vogue Japan