
フリーライターの小林なつめです。
「男子は面倒なことが嫌い」というのは、先日読んだ『パパいや、めろん』という育児エッセイを書いた、作家・海猫沢めろん氏の持論ですが…
私も実体験から「そうかも…」と思うところが多々あります。
ドラマの夫婦ゲンカ描写のリアルさに感動!!
先日見たドラマ「小さい頃は、神様がいて」の4話でも、そんな男性の態度が克明に描写されていました。4話中盤、主人公夫婦の車内でのケンカのシーンです。
このシーン、よくある男女の口ゲンカを忠実に描いていて、感動モノでした。まさに、私が言語化したかったシーンだったのです。
ケンカのきっかけは、妻側が夫の普段の言動に不満を持ったことです。
妻は「あなたのこういうところが嫌だ」と、過去の具体的な例を挙げて夫に訴え、なぜそういうことをしたのか問います。
夫は、最初のうちは話を聞いて応えますが、そのうち口数が減り「ごめん」としか返さなくなります。
妻は、今回のような日常のケンカについても言及します。
「私はこうやってあなたに爆発する。言いたいことを言う。時々ね。でも、あなたは言わない。あなただってきっとあるんでしょ?私に対してイラっとしてること。
でもあなたは言わない。私は言う。だから、いつの間にか、いっつもあなたは被害者。何言われても、理不尽なこと言われても、耐える被害者。私は加害者。それが腹立つ。」
ものすごい名台詞ではないでしょうか。女性の誰もが、一度は恋人や夫などのパートナーに言ったことがあるのではないかというこの台詞。
もちろん私も例外ではありません。夫は私の不満を黙って聞く。だけどいつもそれだけで、自分の本音を話してはくれないのです。
さて、妻の必死の訴えに、夫はなんと返すのか?
最初に口にしたのは
「確かにさ、俺はそうかもしれない。ずれてるかもしれない。君をイライラさせてるかもしれない。」
という、一見「受容」とも思える言葉です。
でもそれに続いて
「よくない?もう、離婚するなら」
と言い放ったのです。
はい、出た、「夫」の得意な捨て台詞。妻はこの言葉を聞いて絶望し、その表情を見た夫は「ごめん」と、弁解しようとします。
妻は静かに「私は、分かってほしかっただけ」とつぶやき、夫は自分が「やっちまった」ことを悟るのでした…。
夫婦を描いたドラマ史上、最もリアルなのでは!?と思うほどの、この場面。私は共感と興奮で、涙が出そうになりました。
男はなぜ、女との会話を無下にしがちなのか?
ちなみに我が家の夫の場合、捨て台詞は「はいはい、全部俺が悪いんでしょ」でした。
「よくない?もう、離婚するなら」と「はいはい、全部俺が悪いんでしょ」の共通点は何か。それは、会話の切り上げ。思考停止。つまり、妻との話し合いを面倒臭がっているのです。
妻の最後の台詞。切実な「分かってほしかっただけ」が、なんとも切なくないでしょうか。そう、妻は夫と本音をぶつけ合って、分かり合いたいだけ。
人と人が分かり合うために努力するのは、むろん女性にとっても面倒なものです。
でも、相手のことを分かりたい、自分のことを分かってほしいと思うし、関係を続けたい、より良くしたいから、その面倒にも立ち向かおうとしているのです。
その涙ぐましい思いに「もうよくない?」って…「いいわけあるかっ!」と、本気のツッコミを入れてしまいたくなるくらいです。
いくら面倒でも、大切なパートナーとの大事な局面の会話を、なぜおざなりにするのでしょう。後日、同じドラマを見た友人とも話したのですが、まったくもって理解不能です。
と、悶々とした日々を過ごしていたとき、読んでいた記事の一文が目に留まりました。
原因は男女のコミュニケーションスタイルの違いにある?
そこには「「対人関係の構築力」は、男性と女性で大きな差がある」とありました。
記事を読むと、アメリカの心理学者トーマス・ジョイナーは、著書で「男性は成功と権力を追求する過程で、友人や家族を『当たり前の存在』とみなす傾向があり、女性に比べて『関係性を構築する努力』をしない。」と述べているそうです。
なぜかというと「男の子同士の交流は、たとえば、スポーツや興味がある『モノ』を通じて成立しているため、それほど、『人』に対する気遣いをする必要がなく、関係維持にそれほどの熱意を注ぐことがない」と。
同じ記事内では人類学者であるイギリスの大学教授の調査でも、同じように「男性は一緒に何かをすることがなければ、関係を継続することが難しい」ことが分かったと書いてありました。
つまり、女性同士が「向き合う」のに対して、男性同士は「共通の目的(スポーツや仕事、ゲームなど)のために、互いに肩を並べる」コミュニケーションのスタイルをとる傾向にあるというのです。
さらに記事には「男性に、なぜ「友達と会って話したりしないのか」と問うと、高い確率で「めんどくさい」という答えが返ってきます。」ともありました。
つまり、男性は、面倒だから関係を構築、持続させる努力をしない傾向にある…。驚いたことに、高名な心理学者や人類学者ですら、私と同じ、この結論に至っているというのです。
↓以下の記事に続きます。
男たちよ、面倒臭くてもまず「人の話を聞け」【後編】~人の命さえ危険にさらす?~
【参考】
■ 『パパいや、めろん』海猫沢 めろん/著 講談社 2020.6
■ 東洋経済オンライン「友達は妻だけオジサン」中高年男の超残念な現実 なぜ皆、口を揃えて「めんどくさい」と言うのか」