
フリーライターの小林なつめです。
我が家には2人兄弟がいて、家族4人中私を除いた3人が「男」です。
しかも子どもたちは、型にはめたような「日本男児」で、好戦的なタイプ。2人とも、日々ケンカと戦いごっこに明け暮れていて、なんとなくギスギスしがちな我が家…。
でも「ギスギス」感を覚えているのは、どうやら家族の中で私だけらしいのです。そんな生活なので、たまに母や女友達と話す機会があると、ものすごく癒されるのを感じます。
「これってなんで!?私が家族の中で唯一の女だから?」と、違和感、疑問、不満を感じていました。夫に話してみても、やはりピンとこない様子なのです。
そんなときに、たまたま見かけたSNSのポストには「ブラザーペナルティ」について書かれていました。
前にも聞いたことのあるこのワード。調べてみると、「ブラザーペナルティ」は、兄弟がいることで女性が受ける、不利益や制約を意味する言葉でした。
女の子は小さいころから、ほかの男兄弟よりも家事や育児の手伝いをさせられるなど、「面倒見のよさ」や「家庭における責任」といった役割を押し付けられる傾向にあります。
実際に、デンマークやアメリカで行われた研究によると、「妹がいる長女と比較して、弟がいる長女ほど、STEM(科学・技術・工学・数学)の分野での就学・就業率が低くなること」また、「弟がいる長女ほど年収も低く」なることが分かっているそうです。
(引用:PRESIDENT Online「弟がいる長女ほど専業主婦を選びやすく、年収が34万円も低い」人生を左右する”ブラザーペナルティ”の正体)
「弟のいる長女は就学・就業率、年収が低くなる傾向にある」…その原因は、主に2つあると考えられています。
1つ目は同性の親と過ごす時間が増えることで、同性の親の影響を受けやすくなるから。
2つ目は、異性の兄弟と自分を差別化するために、女の子らしい振る舞いを強く意識するようになるからだといいます。
結果として、弟のいる長女は、「伝統的な性別役割分業」的な意識が強まり、就学・就業率や、将来的な収入が下がってしまうのです。
反対に、姉のいる弟は「シスターベネフィット」という恩恵を受けられるといわれています。
面倒見のいい姉がいることで、家庭内の面倒は手放せると同時に、コミュニケーション能力が高くなり、精神的にも安定しやすいんだとか…。
米国経済研究局の新しい研究:同じ学校でも「女子の多い学年」にいる生徒ほど、男女ともにメンタルの状態が良くなる
男子では
・うつ症状が低下
・うつの診断基準を満たす割合が約10%減少
・学校生活への満足度も上昇女子では
・気分が安定し、自己イメージが改善
・理科・数学の成績が向上… pic.twitter.com/qBm3ZsWVvm— Nobuhiro Ariyoshi MD (@AriyoshiMd) October 14, 2025
引用元のポストには、米国経済研究局における研究で、「「女子の多い学年」にいる生徒ほど、男女ともにメンタルの状態が良くなる」ことが分かったとあります。
平たくいえば、女性の存在がQOL(生活の質)を上げてくれるというのです。
そういえば…私の勤める小学校でも、最近、衝撃の光景を目の当たりにしました。
友だちとケンカしてイライラしている男子に、1人の女子が一生懸命話しかけているのです。
女の子は、「何があったの?どうしてむかついたの?」と「受容」の姿勢を示して、男の子の話を「傾聴」し、「それはイヤだったね」と「共感」し、さらには「じゃあこれからどうしたらいいか、一緒に考えてみようか」という会話を繰り広げていました。
これは、受容や傾聴、共感なんて言葉を知りもしないはずの、低学年の女の子の言葉です。しかし、カウンセラーやメンターさながらの対話ではないでしょうか。
その様子は、姉が弟を慰めているようにも見えました。
私にとっては認めたくない、衝撃的な事実でしたが、実際のところ、生まれながらにメンタルケアをする側とされる側は決まっていて、それは男女が一緒にいることで、さらに強化される傾向にあるようです。
とはいえ、もちろん例外もあります。例えば、ほかならぬ私がそうです。私は2人姉弟の姉ですが、ブラザーペナルティを受けた実感はあまりありません。
弟は私より賢く高学歴で、私より高収入の仕事に就いてはいますが、それは私が「姉だから」「ブラザーペナルティを受けたから」だとは到底思えないのです。
私は実家で「女性としての役割」を引き受けていません(弟とは関係良好ですが、面倒をみた覚えはほとんどない)し、女性であることで、就学や就業の意識を削がれてもいません。
私の場合、両親が「姉だから」「女だから」という言葉をほぼ発さず、弟と同じように育ててくれたことが全てなのではないかと考えています。
だから今でも「女性役割を引き受けなきゃ」と思わないどころか「引き受けてたまるか」くらいの気持ちがあるのかもしれません。(笑)
たとえ異性の姉弟、あるいは兄妹であっても、親の考え、行動次第では、ブラザーペナルティを与えずに済むのではないでしょうか
今の時代、特に「性別に縛られない育て方をしたい」と考える親が増えていますし、これからは兄弟の性別によって、どちらかに「ペナルティ」が発生しない方向に、変化していくことを期待しています。
【参考】
■ OKWAVEメディア「ブラザーペナルティとは?姉妹だけが背負う家庭の重圧」
■ PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)「弟がいる長女は文系を選びやすく収入が低い」きょうだいの組み合わせが人生に及ぼす意外な影響 “ブラザーペナルティ”発生の仕組み」
■ PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)「弟がいる長女ほど専業主婦を選びやすく、年収が34万円も低い」人生を左右する”ブラザーペナルティ”の正体 正社員率が低く家事時間が長い傾向」