フリーライターの小林なつめです。
あなたの身近な存在に、女性リーダーはいるだろうか。
そもそも「女性活躍」の世の中といえ、女性管理職はまだまだ少ない。2021年7月の帝国データバンクの調査によると、女性管理職の割合は平均8.9%に過ぎない。
このような状況では、「もし女性である自分が管理職になったら…」と仮定して考えてみることすら難しい。
女性が責任のある仕事や役職に就くことになったとき、男性のような力強いリーダー像を目指してしまいがちな傾向にある。それは身の周りにロールモデルとするのにふさわしい女性リーダーがいないからと言われる。
一方で、積極的にリーダーシップをとる女性リーダーの姿は、男女を問わず周囲に良い印象を与えないという。
これは「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という、ジェンダー・バイアスによる自然な反応である。
女性リーダーの少ない日本社会では特に、「リーダーは男性が務めるもの」という刷り込みがある。
例えば「医師は男性、看護師は女性」、「社長は男性、秘書は女性」のように、女性は男性の補助的な立ち位置にあるのが普通という固定観念が一般的なのだ。
女性が男性のようなリーダー像を目指しても、周囲に好意的に見られなくて当然かもしれない。
だからといって、女性はリーダーに向いていないのかというと、決してそんなことはない。
女性の方が男性よりもリーダーに向いているという調査報告もあるくらいだ。
では、女性リーダーとしてのロールモデルがいない女性は、どのようなリーダー像を目指せば良いのか。
スイスのビジネススクールIMD教授、ギンカ・トーゲル氏は「リーダーに期待される役割と女性に期待される役割を、自分らしいやり方で融合させる」と良いと述べる。
女性リーダーが極端に少ない現代、無理に男性のリーダー像を目指す必要はない。リーダーを務める中で、「自分の性格や個性を生かした、自分だけのリーダーシップのスタイル」を探していければ、それで良いのだと思う。
そのヒントとして、近年注目を集めているリーダーシップのスタイル、「サーバントリーダーシップ」がある。
サーバント(servant)は、「使用人」や「奉仕者」のような意味を持つ。
従来のリーダーが「支配型」で、権力を行使して部下に命令や支持を出していたのに対し、サーバントリーダーシップではリーダーが部下に尽くし、信頼関係を結ぶ。
部下を信頼して仕事を任せ、話をよく聞いて仕事のフォローやサポートを行い、チーム全体で協力し合い、組織全体の成長につなげるようなリーダーシップだ。
力強いリーダーシップで周囲をぐいぐい引っ張っていく、典型的な男性リーダーのスタイルとは真逆のリーダー像だが、しっくりくるという女性は多いのではないだろうか。
サーバントリーダーシップを目指す手段として、コーチングで自らの強みや魅力を知り、最大限に生かしていく方法がある。旧式なリーダー論は捨て去って、新しい時代を切り拓いていく、柔軟な女性リーダーを目指そう。
【多賀の追記】
ちなみに、サーバントリーダーの図として多いのが、トップが部下を腕で支えているというのが多いが、私の中では腕で支えるというよりも、スポットライトを当てるというイメージなのである。
図:『多賀が考えるサーバントリーダーのイメージ』