【本レビュー】できるリーダーになれる人は、どっち?:話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!

【本レビュー】できるリーダーになれる人は、どっち?:話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!

 

【本レビュー】できるリーダーになれる人は、どっち?:話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!

 

「あなたはできるリーダーですか?」

P1

 

冒頭いきなりドキッとする問いかけから始まる。

私なら何と答えるだろう。ドラマや小説の中の100%完璧な非のないリーダーが基準だとすると、Yesとは簡単に答えにくい。

著者の林健太郎氏はのべ2万人のリーダーに会う中で、多くが

リーダ-専門の教育や訓練を受けずに、これまでの仕事ぶりや「ひとりで」挙げた仕事の実績が評価基準となって、リーダーに抜擢されるというケースが大半であるという事情

P3

を知ったという。そのことに危機感を感じ『リーダーになってから学ぶのではなく。リーダーになる前から学ぶ。』という新しいコンセプトを意識しながら、執筆したのが本書だという。

リーダーになる前から、リーダーになる準備をする

P4

また、ひとえにリーダーと言っても、定義はそれぞれだ。

本書では、「人に影響を与える立場にある人」のことを総称して「リーダー」と呼びます。

P6

 

そして、リーダー=人に影響を与える立場にある人になるための準備として、23の習慣が記してある。

その中からいくつか抜粋してみるが、まったくの私の好みであることはご了承いただきたい。

 

習慣5 こまめな「報・連・相」を欠かさない

「納期に間に合わそうです」「私には難しくて、できない可能性があります。」など、

リーダーになれない人の仕事のやり方は
「自分でなんとかしようとする」スタイル
リーダーになれる人の仕事のやり方は
「できる・できないに関わらずこまめに進捗を連絡する」スタイル

P81

「報・連・相」がすたれている理由の

3つ目は、報告する側の「報告に対するハードル」が上がってしまったことです。「上司に報告するのなら、それなりの成果や成功したことを報告しなければ!」「上司に報告するなら、理路整然とまとめておかなければ!」などなど、伝えるならきっちりしなくてはという強いプレッシャーを感じる人が増えてきたように思います。

「報・連・相」をどう伝えるべきかアレコレ試案しているうちに、タイミングを逃してしまうケースが増えているのです。

P94

私も新入社員研修などで「報・連・相」の方法を伝えてるが、手法自体は難しいものではない。難しいのは、話しかけられるか?と、この3つ目の理由だと思う。

相手に伝わるよう結論から端的に自分の意見も交えながら、と考えているうちにやることが目に入り、報告よりも先にやってしまった方がいいのでは、と判断して遅くなるのだ。

 

習慣9 担当が曖昧な仕事を「自分の仕事」にする

 

「それは私の仕事ではありません」
「どこまでが自分の仕事かわからないんです」

「それは私の担当ではありません」
「それはウチの課の仕事ではありません」
「それはちょっと範疇の外ですね」

P113-114

よくある発言である。発言してしまうとやることが増えてしまうから、貧乏くじ引いてしまうと勝手に思っている。だからできるだけ関係のないふりをする。

リーダーがそうだと、メンバーも同じである。指名しないとやらない組織に主体的な喜びはない。「やらされ感」を得だとする組織で働くメンバーは、この上なく辛いだろう。

 

そう、わたしたちの多くは心のどこかで『プロジェクトX』の主人公になってみたいと願っているだと私は勝手に考えています。

P119

もう少し誇張して言うと、いざ、自分が主人公になるチャンスがめぐってきても、なぜか多くの人がスルーしてしまう。これが私たちの日常だということです。

P120

「大きな仕事を成し遂げたい」という願いを持ちながらも、現実は、「自分に自信がない」「貪欲に仕事をとりにいくのはカッコ悪い」「責任を負うのが怖い」……といったさまざまな理由で一歩を踏み出さずに終わりがちです。

P121

これは私も耳が痛い。大きな仕事をして注目されたい、あいつは出来るやつだと思われたいそんな欲求があるものの、いざとなると尻込みする。その先に待っている大変さを想像すると、同じく待っているだろう喜びもどこかに潜んでしまうのだ。

だから他の人に任命された方が気が楽だ。その任命した人の責任も多少乗っかってくるから。やりたくないのに、やることになればさらにアドバンテージが付くだろう。

さて、そんな組織は健全なのだろうか?働いていて楽しいのだろうか?ワクワクしながら働けるのだろうか?

 

逆説的に、「リーダーになれない人」は、「どこまでが自分の仕事なのかわからない」といって悩むことが多いのです。

P121

一歩踏み出すことで得られる景色は変わる。出会う人も変わる。そうやってリーダーになる人は自らチャンスを取りに行っているのだ。

 

習慣13 堂々と自分の意見を述べる

この習慣で語られている毒素3「防御」、毒素4「逃避(あるいは無視)」は大変興味深い。一見毒素だと思えないものが、実は毒素として人間関係を壊しているという。

私もチームでミーティングをやっていて、上手く行かないなぁと思う時は、いろんな意見が飛び交うよりも、「防御」「逃避(あるいは無視)」が起こっている時の方が多い。

まるで一人で話し、一人で決めている孤独な状態なのだ。できれば賛成・同意の発言が欲しいが、反対・異論であっても無言よりはずっといい。それを題材にまた対話することができ、メンバーの考えがわかるのだから。

 

コミュニケーションを阻害する「4つの毒素」

ゴッドマン博士によると、チームの「コミュニケーションを損ねる、あるいは悪化させる毒素になる要因」は、大きく次の4つだと定義しています。
毒素1「非難」
毒素2「侮辱」
毒素3「防御」
毒素4「逃避(あるいは無視)」

P148-149

(「防御」は)周りの人と自分との間に、高い壁をたてるようなイメージが近いかもしれません。「私は無関係である」という意思表示をしているとも言えます。

日本の文化では、謙遜や遠慮を好ましいものと考える傾向があります。しかし、コミュニケーションにおける心理的安全性という観点からは、この「防御」も「非難」や「侮辱」と同等の破壊力を持っているとも言えます。

P150

「逃避(あるいは無視)」も、一見静かでありながら、かなり強い攻撃性を持つのだということです。

P151

 

こうした毒素が会話の中に現れたときに、2人がどのように会話を続けていくのか、その工夫の仕方が破綻するか否かに紐づけられているというのです。

P152-153

もしあなたが、リーダーとして優れたチーム運営を目指すのであれば、こうした毒素が自分に発生していないかに気を配り、また、チームの中で毒素が発生したときにどんな会話をするとより安全な会話に戻せるのかを研究しておくことが大切です。

P153

チームで話す時のルールや共通認識を持って、毎回確認してからはじめるといいだろう。

ゴッドマン博士の「人間関係を阻害する4つの要因」についてはこちらのブログでも記事にしているのでよろしければ目を通して欲しい。
あなたのチームを壊している真の原因は 「防御」「無視・逃避」かもしれない?!

 

習慣14 自分の影響力を過小評価しない

あなたは特別に何かをしなくても、例えば、表情や仕草だけでも、周りにさまざまな影響を与えています「私は何者でもない」「今日は気配を消しておこう」といった考え方をするのは、そろそろ諦めてください。

P156

無言でいれば周りに影響していないだろう、大人しくしていれば邪魔にならないだろうと思っても、そこに存在するだけで周りに影響は与えている。特にメンバーの立場にあるときに起こりやすい。

今、自分はどんな表情で参加しているのか意識するだけで、場の雰囲気は変えられる力を持っていることは知っておきたい。

 

習慣15 「皆さんはどう思いますか?」と問う

「私の意見はこうです」と、自分の意見をハッキリ伝えた後に続けて次のように言える人が「リーダーになれる人」です。
「皆さんはどう思いますか?」

p161

この「会話の橋」をかけないと、話がぷっつりそことそこで終わってしまいます。

P163

リーダーの側から「会話の橋」をかけていくことで、不安や緊張感が伴わない「会話のキャッチボール」を始めることができるのです。

P165

自分の意見を「バシっ」と言える人は多い。またリーダーから「どう思う」と問われ、意見を伝えることができてもそこから更に「〇〇さんはどう思いますか?」「皆さんはどう思いますか?」と橋を架けられる人は少ないのではないか。

ましてやリーダーから「どう思う?」と問われたら正しい答え、望ましい答えを探すのがメンバーである。メンバーの側からも「どう思いますか?」と言えることは、正しい答え、望ましい答えだけではなく、できるだけ自分の考えを交えた意見を伝えらるのかもしれない。

 

ここがコミュニケーションの不思議なところ。技術レベルとしては対して難しくないことでも、職場でいざ活用しようと思うと意外と難易度が高いことに気づきます。

p166

これは、私も何度も体験した。自分の考えを伝えると役割が終わったような気がしてしまうのだ。伝えることに精一杯で、伝わったかどうかだけが気になり、会話の橋を架けることを忘れてしまう。

また、「どう思う」に反対意見が出た時のことを考えると、躊躇する場面も多いのではないか。メンバーのことを知りたい。でも怖い。そんな防御が働く時にこんな簡単な言葉さえ難易度がぐっとあがってしまうのだ。

「会話の橋」をかけるときには、「自分の意見」や「自分のスタンス」を、先に相手に伝えるのが鉄則です。

p167

 

 

習慣18 自分の機嫌を自分でとる

「人間は感情の動物」と言われています。
感情抜きには、生身の人間関係は語れません。

P183

リーダーにも感情はある。長い間、ビジネス組織の世界に感情を持ち込むことはタブーとされてたが、歴史の中でも多くの問題を引き起こし、こじれさせてきたのは「感情」であり、近年、感情のメカニズムが解明する中で、先人たちは感情も上手に扱う方法を見出してきた。

本書でもP186-192に渡って、感情をコントロールするための手法として「感情曲線」「カスタマー・ジャーニ・マップ」について、わかりやすく伝えている。

リーダーになれる人は、感情を客観視する能力が高く、

こころの中では「うわっ!マジ信じられないよ、こいつ」と怒りに満ちた感情が沸き起こったとしても、それをそのまま相手に向けて伝えることはありません。冷静さを保ちつつ感情曲線を頭の中で描きながら、

「少しだけ、私の感情を伝えてもいいかな。今、このことについて私が残業しなくてはいけなくなったこと、正直うれしくないなと感じているんだ」

と、一歩引いた表現で自分の感情について語ることができるのです。

P192-193

この下りだけを読むと、それを伝えられたメンバーは「じゃあ、どうしたらいいの?」と悩むのではないかと、すぐに考えてしまうかもしれない。

しかし、ここではリーダーの側からの視点を大事にしてほしい。
「うわっ!マジ信じられないよ、こいつ」と一方的に怒りをぶつけている状態(感情に乗っ取られた状態)で、お互いに話をする関係性は保たれるのであろうか。
この一件の後もこのリーダーとメンバーは業務上の会話をしていく、そのときメンバーは話しかけることが出来るだろうか?
逆に、リーダーがこのようにメタ認知力が高ければ、メンバーが不満を感じた時にこの伝え方があるのでリーダーに「〇〇に不満を感じています」と伝えられる可能性も高くなるだろう。

リーダーが何を考えているのかわからない。メンバーが何を考えているのかわからない。そういう悩みをよく聞くが、まずは自分が何を考え、感じているのかを伝えられることから、相互理解がはじまると思う。

 

習慣19 会話の「シナリオ」を作ってから話す

仕事で相手と会話するとき、
リーダーになれる人は、目指すゴールから逆算して、「何を言うか」を考えてから口に出す。

P196

リーダーになれる人は、「自分の発言によって、聞いている相手がどういう状態になればハッピーか?」「聞いている相手にどう思ってほしいか?」などを逆算して、会話のシナリオを考えてから発言します。
つまり、受け取る側の感情から発言を考えることができるのです。

P198

この習慣は、わたしにとってはかなり高度な習慣だと感じている。
多くのリーダーがメンバーに厳しい目標を伝える時に「どうしたら不満を感じずに快く”YES”と言ってくれるだろうか」に注力しているのは確かだが、それは、リーダーとしての自分を防御するために働く行動であって、伝えた後に「どういう感情になってほしいか」「できればポジティブな気持ちになってほしい」というところまでは、意識が回っていない。

そもそも厳しい目標数値に対して、ポジティブな感情が紐づけられることさえも気づいていないだろう。厳しい目標は「苦労してやるものだ」「我慢してやるものだ」というような前提を勝手につけてしまう事の方が多いからだ。その結果として「成長した」「チーム一丸となった」がご褒美として手に入るとされている。

だからまずはその意識を変えることから、この習慣ははじまるといえるのだろう。

 

例えば、あなたが感情に任せて、
「こんな売上、達成できるわけがない!会社は何を考えているんだ!でも、会社が言っている事だから、みんなも売上が上がるように何とかかんばってくれよな」と伝えたとすれば、受け取る側にはきっとマイナスの影響が働くでしょう。

P200

「部下たちがどういう気持ちになるのが望ましいか」

「そんな売り上げ目標は無理に決まっている」(と受取るに違いない)

「高い目標をクリアするという経験を仲間と一緒に楽しむ」(という思考にみんなが向かうにはどうすればいいか)

P198-199

ここまでできるように、リーダーになる前から準備をしておけば、いざリーダーになったときのストレスの大半は乗り越えられるものになっているだろう。もともと仕事はできるから選ばれるわけだが、仕事以外の「人との関係性」で悩むリーダーが多いからだ。

正直なところ、長年いろんな場所でリーダーをやってきた私にとっても価値のある1冊だった。どうしてもすんなりといかないチーム運営に大きなヒントを与えてくれ、気持ちがスッと楽になった。

コーチングスキルを知っているから、すんなりと落ちていることもあると思うが、これからリーダーになる人、先輩になる人、そしてリーダーを育てたい方にもおすすめの一冊である。

 

できるリーダーになれる人は、どっち?: 話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく! (単行本)

【本レビュー】できるリーダーになれる人は、どっち?:話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!【本レビュー】できるリーダーになれる人は、どっち?:話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!

 

 

 

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