男性の育休は少子化を食い止める!?男性育休取得の増加で社会はどう変わるのか

男性の育休は少子化を食い止める!?男性育休取得の増加で社会はどう変わるのか

男性の育休は少子化を食い止める!?男性育休取得の増加で社会はどう変わるのか|リアンブルーコーチング舎

 

フリーライターの小林なつめです。

年の瀬に飛び込んできた「2022年の出生数80万人割れ」のニュース。70万人台に割り込んだのは、1899年に統計を取り始めて以来、初めてだという。これは政府の予測よりも11年も早く、少子化が想定外のスピードで進んでいると分かる。

なぜ少子化がこんなにも進んでいるのか。直接的な原因として考えられるのは、未婚化、晩婚化、晩産化、そして1組の夫婦あたりの出生数の低下だ。

これらの背景として、結婚や出産の価値観の変化や、仕事と育児の両立の難しさ、子育てにかかる経済的負担などが挙げられる。

2020年からはコロナ禍の影響により、以前に増して先行き不安な世の中となっている。妊娠中の新型コロナウイルスへの感染に対する恐怖心や妊娠・出産時の自由度の低さなどから、「産み控え」を選択する夫婦も増え、少子化はさらに加速してしまった。

そんな中、少子化対策として、男性育休が有効だと提唱している『男性の育休』という本を読んだ。本作では、少子化の根本要因を「夫の家事育児時間の短さ」にあるとしている。

その根拠となっているのが、同じ夫婦を13年間追跡調査した、厚生労働省のデータがある。

(出典:令和3年版 少子化社会対策白書(内閣府)

平均理想子供数と平均予定子供数の推移

これは夫の「休日の」家事・育児時間と、第二子の出生状況との相関関係をまとめた図だ。夫の休日の家事・育児時間が長い家庭ほど、第二子の出生率が上がっていると分かる。

「家事・育児時間なし」の家庭では第二子をもうけた割合がたった10%なのに対し、「6時間以上」ともなると87.1%と、顕著な差が出ている。このデータほどの差はないが、平日、あるいは調査対象者の異なるデータでも、傾向は同様だ。

 

この結果から、「男性の家庭進出」が進むほど、1組の夫婦の出生数が増加するという理論が成立する。すなわち、男性育休が増えれば、少子化に歯止めがかけられるかもしれないのだ。

先に少子化の背景として「結婚や出産の価値観の変化」を挙げたが、価値観が時代と共に移り変わるのは自然なことだ。出産や子を持つことに消極的な人に、無理にそれを勧める必要はない。

 

少子化をポジティブに解決するには、「子どもを望む人に、希望する人数を安心して産んでもらう」のが一番だ。

子どもを希望していても、条件や環境が揃わずに、望めなかったというケースは多い。理想の子どもの数は年々減ってはいるものの、およそ6割もの夫婦が希望の人数の子どもを持てなかったという調査結果もある。

本来であれば生まれてきたはずの子どもが、生まれてこられないのは、とても残念なことだ。その原因の一つが父親の家事・育児時間であるならば、それほどもったいないことはない。男性育休取得の増加は、ポジティブな形で少子化を解決できる、数少ない手段ではないだろうか。

 

【参考書籍】
『男性の育休』(小室淑恵・天野妙/著 PHP研究所 2020.9)
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【参考サイト】
第2章 なぜ少子化が進行しているのか: 子ども・子育て本部 – 内閣府
今年の出生数、推計77万人 少子化が一層加速 朝日新聞独自算出:朝日新聞デジタル
日本の少子化問題とは?原因や将来への影響を知り対策を考えよう
「本当はもっと子供が欲しいのに…」6割以上が希望人数の子供を持てない!その理由と解決策とは?|株式会社ネクストレベルのプレスリリース
2割の家族がコロナ禍で産み控え〜少子化の原因調査を発表〜|コネヒト株式会社のプレスリリース

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