フリーライターの小林なつめです。
男性育休のトリガーは、経験者の後押し?
以前「【男性育休】当事者インタビュー」を行った際、当事者であるHさんに「育休取得のきっかけ」について尋ねました。
Hさんは元々、育休を取るつもりはなかったそうです。
産前、妻に「育休を取ってほしい」と言われたのは、ちょうど仕事が激務のタイミング。育休についてなど考える余裕もなく、気のない返事をしていたといいます。
それなのに、Hさんは育休を取得するために行動し、実際に育休を取得しました。
その原動力ともなった直接のきっかけは、職場の先輩がかけてくれた「育休取った方がいいよ」という一言でした。
その先輩は男性で、本人も育休を取得した経験があったそうです。
(この先輩は以前「無意識のうちに陥ってない?「マターナル・ゲートキーピング」」の記事で紹介した「家事・育児をやりすぎて妻に叱られた」という逸話をお持ちの方です。)
Hさんはこの先輩の言葉に背中を押され、さらに身の周りの男性教員で育休を取った人が何人かいることも知り、自分にも育休を取れる可能性があることを認識したといいます。
Hさんは周囲の後押しをきっかけとして、育休取得を現実的に考えるようになりました。
このエピソードから、女性と比べると取得率の低い男性の育休を取るきっかけとなりやすいのは、周囲の経験者(特に男性)による後押しだと分かります。
男性育休の取得率向上に伴う効果
ここで、男性育休の取得率の変化についておさらいしてみましょう。
厚生労働省によると、2023年度時点で男性の育休取得率30.1%と、政府目標を達成した後、2024年度にはこれより10ポイント高い40.5%に上ったそうです。
厚生労働省は、男性育休取得率を上げるための企業の取り組み、さらには取得率そのものの向上が、以下のような効果を生み出しているといいます。

出典:厚生労働省「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」 報告書
上位に「職場風土の改善」「従業員満足度・ワークエンゲージメントの向上」「コミュニケーションの活性化」などが入っています。
男性育休取得率を上げるための取り組みや、取得率の向上そのものに、企業風土を改善するような効果があるというのです。
男性育休が取れる職場は雰囲気がいい!?
つまり、【男性育休を取りやすい環境づくり=働きやすい環境づくり】だといえます。
育休を取得した男性の体験談や後押しは、他の誰かの育休取得につながるだけでなく、職場全体の雰囲気を良くして、芋づる式に男性育休の取得者が増えていく…。
男性育休取得者を増やすことは、「働き方改革」の一つですが、男性育休取得者の増加そのものが、働き方改革の一助となる可能性を秘めているのです。
その成果が表れ始めた結果、2025年現在、男性育休の取得率が右肩上がりになっているのかもしれません。
【参考】
■ 厚生労働省「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」 報告書」
■ 無意識のうちに陥ってない?「マターナル・ゲートキーピング」
■ 【男性育休】当事者インタビュー①:~夫、育休取得編~