なぜ対話する必要があるのか?『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

なぜ対話する必要があるのか?『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

なぜ対話する必要があるのか?『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』|リアンブルーコーチング舎

なぜ他者と働くと、ものごとがスムーズに進まない、ストップするなど、一筋縄ではいかないことが起こるのだろう?

今回は、『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』の内容をご紹介。
感想を簡単に言わせていただくと「組織はこれに尽きる!みんな一度は読んで欲しい!!!」と勧めできる読みやすい一冊だ。

なぜ対話する必要があるのか?『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

さて、最初の問いかけに戻る。なぜ他者と働くと、ものごとがスムーズに進まない、ストップするなど、一筋縄ではいかないことが起こるのだろう?

たくさんのスキル・理論が示していることがその通りに行けば、もっと理想的な組織になるとわかっているのに、それが出来ないのは、人間が絡むからだ。

このことを、ロナルド・ハイフェッツ教授は、「技術的問題」と「適応課題」と定義した。

技術的問題・・・既存の方法で解決できる問題
適応課題・・・既存の方法で一方的に解決が出来ない複雑で困難な問題-関係性の中で生じる問題

ロナルド・ハイフェッツ教授

『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

 

では、この関係性の中から生じる「適応課題」はどうしたら解消するのだろうか。

この適応課題をいかに解くか-それが本書でお伝えする「対話」です。

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対話とは、一言でいうと「新しい関係性を構築すること」です。

『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

 

正直なところ、対話には時間がかかる。自分と違いう意見を耳に入れることは心が痛む。自分が間違えていた時、意見が取入れなかった時の挫折感も大きい。

だからといって、日本社会はこれまでのように適応課題を無視したままで、いい状態になるとは考えにくいだろう。技術的問題を解決して社会は成熟し、これから先は適応課題に目を向けないとならない。これからは、違う意見をモヤモヤしながら聴き、ことあるごとに自分の言葉で伝える必要がある。

対話しか方法がないと言ってもいいのでは?と思っている。

さて、本書にはわかりやすいイラストが多い。とてもわかりやすいので、ググるといっぱい出てくるが、本記事では文章だけにしておく。

以下、ポイントとなる部分の抜粋

哲学者のマルティン・ブーバーは、人間同士の関係性を大きく2つに分類しました。

「私とそれ」の関係性・・・道具のようにとらえる関係性
「私とあなた」の関係性・・・相手の存在が変わりが利かないもの、相手が私であったかもしれないと思える関係性

『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

⇒「自分の小さな”箱”から脱出する方法」のテーマと同じだ。人は慣れてくると「私とそれ」にしてしまう。

 

適応課題の4タイプ

ギャップ型・・・大切にしている「価値観」と実際の「行動」にギャップが生じるケース
対立型・・・互いの「コミットメント」が対立するケース
抑圧型・・・「言いにくいことを言わない」ケース
回避型・・・痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えたりするケース

『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

 

対話のプロセスは「溝に橋を架ける」という行為になぞらえることができます。

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この「溝に橋を架ける」ためのプロセスを、大きく4つにわけることができます。

1,溝に気づく・・・自分から見える景色を疑う⇒あたりを見回す⇒溝があることに気づく
2,溝の向こうを眺める・・・相手との溝に向き合う⇒対岸の相手の振る舞いをよく見る⇒相手を取り巻く対岸の状況をよく見る
3,溝を渡り橋を設計する・・・溝を超え、対岸に渡る⇒対岸からこちらの岸をよく見る⇒橋を架けるポイントを探して設計する
4,溝に橋を架ける・・・橋を架ける⇒橋を往復して検証する

・・・⇒橋を補強したり、新しい橋を架ける

『「他者と働く」-「わかりあえなさから」始まる組織論 宇田川元一』

 

ミュニケーション研修の、もっとも重要なポイントでもある。単なる「仲良くやろう」ではない。言わない選択でもない。

もやもや、キリキリして乗越えた先に、いつも修復・補強・架け替えを続ける必要がある。
継続する組織の為に、そこにエネルギーと時間を変える価値は大きい。

私の研修でも、ここを常に伝え続けよう。

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