組織における対話はとても重要です。
情報の共有と理解、問題解決と意思決定、チームワークなど、対話が潤滑油となってくれます。
また対話は、学習と成長を促進する経験学習の面からも効果的な手段です。対話を通じてメンバーはお互いから学び、スキルや知識を向上させることができるのです。
しかし多くのリーダーは、それを知っていながら、上手く使いこなせていないのが実情です。チームワーク構築のために、わざわざ機会を設けて対話しようとしていたのに、気が付くと指示やアドバイス、リーダー側の期待などを話す時間になってしまうのは、これまでのリーダーの役割や、PDCAを廻す方を優先してしまうからです。
この意識の変革は、思った以上にリーダーを惑わせます。メンバーの側にしても、なぜ忙しい中、業務を止めて対話をしなくてはならないのか、納得がいかないかもしれません。
悩み、価値観、ありたい姿、などを話しながら関係構築をしていく中で、人に焦点を当て業務を進めるための材料を集め、自主的に考えたり行動できるようにサポートするのがコーチングですが、それをお互いにするのが、対話だと私は捉えています。
以前であれば、飲み会の席がその役割を果たしていましたが(そうではない場合もありそうだが・・・)、今は業務時間内に時間を取る方向に変わっています。
飲み会の席でしていた話題を業務時間内に持ち込むことに、まず抵抗が出ています。また飲み会ならば「聴いたよ。そっかー」で終わっても問題なかったことが、業務時間内ではリーダーとして何らかの返答をしなければならない気持ちになるでしょう。メンバーも「あれ、この時間なんだっけ?こんなに楽しく自分が話してていいんだっけ?」と焦るかもしれません。
しかし、この意識変革こそが組織で対話を機能させるための意外なポイントなのです。
プロダクトが出てこない代わりに、お互いの事を知り信頼関係が出来ること。相談や依頼がしやすい関係性ができること。働きやすい環境という人間関係のストレスコストが低いこと。
決して、なかよしルンルンを目指しているわけではなく、信頼関係の上でお互いの学習・成長を支え合える自律的な組織を目指し、対話の意味づけを変えながら長期的な視点でリーダーの意識変革が必要だと考えています。