コーチングによる成長支援を、「コルブの経験学習モデル」で考えてみた

コーチングによる成長支援を、「コルブの経験学習モデル」で考えてみた

コーチングによる成長支援を「コルブの経験学習モデル」で考えてみた

こんにちは。多賀です。

コーチングは、人の成長支援のためのコミュニケーションスキルだと伝えることがある。

コミュニケーションを取る際に、コーチング的な支援が出来れば、教える側やリーダーなどの取りまとめ役の負担も減り、支援されている側も主体的にやっている状態なので、いい状態・環境が得られるので、スキルとして会話のバリエーションを持っているといいですよ、という趣旨で伝えている。

では学術的に言うとコーチングは何をしているのか?を説明するのに、経験学習の分野が私には役立っている。

誤解を恐れずに言えば、コーチングがどう機能しているのかという数値的なデータは、未だ取れていないと思っている。コーチングに関わらず、こういった分野は、人が間に入っているために、環境などの条件設定があまりにも複雑で、理系の実験結果のようなこれが正解というものはない。
しかし、効果が明らかに出ていると実感的にわかっていることは多い。他のやり方を取るよりも、コーチングの会話が役立っている場面が多いのである。

話を戻すと、私自身は経験学習モデルの中でも、コルブの経験学習はアクティブラーニングの言葉と共にでよく耳にした。私が研修の仕事をやり始めた2005年時は、受講者がただ聞くだけの講義型の研修から、受講者同士が意見交換を活発に共有しながら学びあうという参加型への移行期だったのか、まだまだ新鮮でアクティブラーニングとして紹介されていたように記憶している。

一般的にコーチングを説明する時にコルブの経験学習モデルが紹介される場面は少ない。それはコーチングが学術分野にうまくは入れ込めなかった結果でもあると感じている。

私はこの件についてはあくまでも傍観者なので何も言う資格はないのだが、とても残念だと思っているので、あえてコルブの経験学習モデルに結び付けたい欲求を、この記事で満たしたい。

コルブの経験学習モデルは下の図である。「経験学習の理論的系譜と研究動向」 中原淳(2013)をもとに作成した。
この図において、赤字で示しているのが、コーチングの会話の中で扱っている部分だろう。

コルブの経験学習モデル|リアンブルーコーチング舎

コーチングによって支援される側(クライアント)が、何らかの体験をしたことを、コーチングを会話を促す側(コーチ)に話すことからスタートする。

「内省的観察」では、それを経験から何を学んだか?何を感じたか?などを、コーチはクライアントに問いかけ、クライアントはコーチに話しながら自分の中の答えを見つける。

「抽象的概念化」では、クライアントは内省した結果をもとに、経験で得たことを自分なりに解釈し、自分にとってどんな意味があるのか?、そこでの学びを次にどう活かすか?などを、コーチの問いかけから話しながら整理し、記憶に留める。

「能動的実験」は、何をしますか?などのコーチの問いかけにより、クライアントは次への行動を自ら考え、自分から行動しようと決める。行動しようと決める際には、コーチのポジティブフィードバックやコーチとのコミットメントによって、クライアント本人が行動の意義をアンカーしている。

そしてまた「具体的経験」を積むことができ、それが成長に結びついているのである。

 

以上の考えは、検証したわけではない。私がこれまでの経験で感じてきた部分をコルブの経験学習モデルに当てはめただけであるので、個人的な意見である点は留意して欲しい。

 

【参考サイト・文献】

経験学習の理論的系譜と研究動向 中原淳(2013)
経験学習とは?経験学習モデルや経験学習のための具体的手法などについて解説 | JMAM 日本能率協会マネジメントセンター | 個人学習と研修で人材育成を支援する
コルブの経験学習モデル を調べてまとめた – 子供の落書き帳 Renaissance

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