
フリーライターの小林なつめです。
これまでに何度か記事にも取り上げましたが、私は女性アイドルが好きです。
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私は今まで、男性アイドルを好きになったことがありません。どうやら、自分と同性である「女性」だからこそ好きになるし、応援したくなるようです。
ちゃんみなとHANAの華々しい紅白デビュー
2025年の年末年始、エンタメ界の話題をさらったのは、紅白に出場したアーティストの「ちゃんみな」。そして、彼女がプロデュースしたガールズグループ、HANAでした。
特にちゃんみなは、紅白初出場にもかかわらず、ヌーディーな衣装と、強く、挑発的なパフォーマンスで、お茶の間に大きな衝撃を与えたようです。
彼女の紅白での姿は、各SNSで波紋を広げ、年始早々「フェミニズム」がホットワードとして注目され、議論が白熱するきっかけとなるほどでした。
ところで、ちゃんみなプロデュースのHANAは「アイドル」ではなく、アーティスト寄りらしく、「ガールズグループ」と呼ばれています。
ちゃんみなのルーツにK-POPがあり、HANAも韓国由来のアイドル文化の影響を受けていることから、「ガールズグループ」と呼ぶ方がしっくりくるようです。
日本のアイドルとK-POPの違い
日本のアイドル文化とK-POPは、似ているようでいて、全く異なるものです。
日本のアイドルには、10~20代のメンバーを中心とした女性グループが多く、未熟さや親しみやすさが好まれる一方、K-POPではメンバーの年齢や性別はそこまで重要でなく、歌やダンス、作詞作曲などのスキルが、最も重要とされます。
また、日本のアイドルは、元々は異性ファンが大半を占めていましたが、K-POPは同性ファンからの支持も多く集めている点でも、大きく異なります。
ほかにも、K-POPのガールズグループの特徴の1つに、「ガールクラッシュ」というジャンルの存在が挙げられます。
韓国のアイドルや音楽、ファンカルチャーにくわしいDJ泡沫氏によると、ガールクラッシュは、「女子ウケするガールズグループ(のコンセプトやメンバー)」のこと。
つまり、ガールをクラッシュ※させるジャンルという意味を持つそうです。
※クラッシュ=性的な意味合いではなく、強い好意や憧れを抱くこと
そして時に、ガールクラッシュが女性ファンを夢中にさせる理由は「強くてカッコいい」「自立した」「異性を意識していない」ところにあるという文脈で語られます。
日本のアイドルにはなかった、このガールクラッシュというジャンルが、なぜ韓国のK-POP文化の中で生まれたのか。
「ガールクラッシュ」はルッキズムから生まれた?
その一因は、韓国特有のルッキズムの風潮にあるのではないかと考えられています。
韓国は世界一の「美容整形大国」として知られており、「社会的に好ましいと定められた外見の基準によるイメージを重視する」ルッキズムが根付いている国です。
ショートヘアの若い女性芸能人の数はかなり少なく、女性の短い髪は「フェミニスト」や「ミサンドリー(男性嫌悪)」と紐づけて語られます。
東京オリンピック(2021年)で3つの金メダルを取った韓国の女子アーチェリー選手が、ショートヘアだというだけで、自国民の批判にさらされた事件は、その象徴といえます。
それより数年前の2018年には、女性アナウンサーが「韓国史上初めてメガネをかけてテレビに出た女性キャスター」として、大きく取り沙汰されました。
こうした話からも分かる通り、韓国のルッキズムは、日本よりずっと熾烈なものでした。
ルッキズムへの反発から始まった「脱コル」
そんな中、この風潮を変えようと、2018年ごろから韓国の若者を中心に広がったのが「脱コルセット運動」(以下「脱コル」)です。
「コルセット」は、女性のウエストを細く補正するためのもので、体や内臓を変形・圧迫し、健康を損なってまで「美」を優先する行為や道具の象徴として語られています。
韓国における「脱コル」は、「女性だけが押し付けられてきたイメージや抑圧から脱出しようという「社会的女性性を脱ぐ努力運動」」で、具体的には「断髪、ノーメイク、ヒールやスカートなどの動きづらい服装をしない」という手段が多く用いられました。
この手法1つ取っても、韓国の女性たちが日本よりもずっと、男性からの視線に縛られて生活してきた事実が分かります。
とはいえ日本でも、紅白出場時のちゃんみなの衣装やパフォーマンスに、「下品だ」「はしたない」という批判的な声が多く上がっていました。
もしかしたら、ちゃんみなの衣装、振る舞い、パフォーマンスもまた、ルッキズムはもちろん、脱コル的表現の1つなのかもしれません。
【参考】
『アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/<推し>』香月 孝史/編著 青弓社 2022.7
BBCニュース「なぜ韓国の女性はショートヘアを取り戻そうとしているのか」
Business Insider Japan「韓国の美の基準に波紋、女性キャスターが眼鏡でテレビ出演」
Vogue Japan「コルセットの歴史。女性の身体の解放とフェティシズム。」