フリーライターの小林なつめです。
実は私は今年度から、学校司書として教育現場で働いています。日々子どもたちと交流する中で、物語の持つチカラを実感し、読書が彼らに与える影響について考える日々です。
そんな中、こんな記事を見かけました。
「アメリカのZ世代女子の間で今、流行っているのは「読書会」」
デジタルが台頭しているこの時代にもかかわらず、アメリカの若い女性たちの間では、読書会(ブッククラブ)が流行っているといいます。
このブッククラブの活動は、特に目新しいものではなく、アメリカでは1700年代後半にも「読書サークル」という形で流行していたそうです。
それが今の時代に、なぜZ世代と呼ばれる若い女性たちの間では再流行しているのでしょうか。
記事内では、その理由について、いま流行っている「ブッククラブ」という読書会は、読書が目的ではなく、手段に過ぎないからだと解説しています。
読書は、若い女性たちにとって、孤独を癒やし、誰かとつながるためのコミュニティを築くためのツールになっているそうです。
でも、ここで1つの疑問が浮かびます。なぜ、現代の読書会は「女性同士に限定されたコミュニティ」内で流行しているのでしょうか。
実際、アメリカで2019年に生まれた、Bookclubsという読書会のアプリでは、ユーザーの90%を、女性が占めているといいます。
この記事では、アメリカの話しか紹介されていなかったので、「日本ではどうなんだろう?」と気になり、調べてみました。
すると日本でも、女性限定のオンライン読書会が、いくつも行われていると分かったのです。
その中で、女性限定のオンライン読書会のファシリテーターをしている、miiさんという方の「なぜ女性だけの読書会の居心地がいいのだろうか」というブログ記事を見かけました。
miiさんは、ご自身で読書会を行うだけでなく、男性が主催する読書会にも参加されていますが、女性主体でない読書会に参加する際には「変な気負い」があったといいます。
具体的には、男性のいる読書会で「自分の話したい事を話しにくかったらどうしよう」、「感情的に話したり、出しゃばった話し方をして、「これだから女は」と思われたらどうしよう」というような不安です。
彼女はその原因を「男尊女卑の刷り込みがあるから」ではないかと考察しています。
さらに、この出来事を経験して初めて、仕事の場で男性と関わるのは問題なくても、プライベートでは「女性ばかりがいる場の方が居心地がいい」ことに気づいたといいます。
この記事を読んで私は、アメリカでの読書会が「女性同士に限定されたコミュニティ」で流行しているのには、こういう理由もあるのではないかと思いました。
私も、男性のいる場よりも、女性同士の方が気を張らずにいられる場面を経験したことが何度もあるからです。
例えば職場の休憩室で昼食をとるとき。女性同士だと、年齢はあまり気にせず、気兼ねなく会話できますが、男性(特に年配の方)がいると、「何を話せば失礼じゃないかな」「こちらから話題を振らないと」と、いろいろ考えて気ぜわしく、気疲れすることがよくあります。
日常のこんなささやかなシーンでも、男尊女卑の呪いで「きつさ」「しんどさ」が生じているのです。気を使う側になりやすい女性側はもちろん、使われる男性側にとっても、あまりよい状況ではないのではないでしょうか。
男尊女卑の刷り込みがなければ、アメリカでの読書会の再流行はなかったのかもしれないと考えると、なんともいえず、複雑な気持ちになりました。
【参考】
■アメリカのZ世代女子の間で今、流行っているのは「読書会」 | Business Insider Japan
■なぜ女性だけの読書会の居心地がいいのだろうか|mii@🇹🇼年子男児子育て中