東京大学に見る教育と性差別(1)【女子学生の少なさとその原因を考える】

東京大学に見る教育と性差別(1)【女子学生の少なさとその原因を考える】

東京大学に見る教育と性差別(1)【女子学生の少なさとその原因を考える】

フリーライターの小林なつめです。

東大には女子学生が少ない
東大というと日本一の大学として名高いが、国際的に見ると女子学生の割合が非常に低いことで知られている。実際、女子学生の割合は全体の2割ほど。

しかし一方で、統計上は女子学生の偏差値の方が男子学生よりも高いそうだ。「偏差値は男子を凌ぐにも関わらず、女子学生の割合は2割に満たない…」この事実から、東大に入れる偏差値を持ってはいても、入学に至らない女性がかなりの数いると推測できる。

 

女性が東大を選ばない4つの理由

なぜ女性は東大を選ばないのか。考えられる理由を以下にまとめる。

1. 4年制大学に進学できないから
2021年春の男性の大学進学率は57.4%、対して女性は51.3%と、6ポイント近い開きがある。この差には地域差が大きく、また年々少しずつ狭まってきてはいる。しかし未だ「男子ならともかく、女子は短大まででいい」というような固定観念が存在しているとわかる。

2. 地元・現役志向が強いから
女性には親元を離れての進学や、浪人が敬遠される傾向にある。本人の意向によることもあるが、それ以上に親の意向によることが多い。本人が実力に見合う大学を志望していても、地元でないことを原因に反対されるケースも、よく見受けられる。

3. 結婚に関するイメージが悪いから
東大に入る女子には「頭が良すぎて男性に敬遠される」「結婚できない」「キャリア優先で婚期が遠のく」といった世間的なイメージが強い。そのため親や親戚に反対されることも多いのだとか。「結婚こそが女性の幸せ」という価値観の現れだ。

4.女子学生の割合の低さ
女性からすると、男性が8割を占める組織に飛び込むのには勇気がいる。男女の比率によって生じる環境や雰囲気に、物怖じしてしまう女性は少なくないだろう。つまり女子学生の少なさそのものが、長い低迷を招いているのだ。

女子の進学率の低さ、地元・現役志向、結婚への価値観、そしてこれらが生み出した、東大の女子学生の少なさ…このどれもが性差別によるものだ。まるで日本社会の縮図を見ているようですらある。

 

女性たちの翼を折り続けてきたもの

「平成31年度東京大学学部入学式式辞」(https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html)の一説に、2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親の言葉が引用されている。

マララさんの父親は「どうやって娘を育てたか」と訊かれるたび、「彼女に教育を与え、娘の翼を折らないようにしてきただけ」と答えたそうだ。

この答えは教育における性差別を考える上で、とても重要だ。日本ではこれまで、そして今なお社会全体や家庭内における性規範、それに基づくプレッシャーが、女性たちの翼を折り続けている。女性たちが「東大を選ばない」と判断するのは、性差別が変わらずそこにあることを示唆している。

このように考えていくと、東大の女子学生の少なさは根強い性差別が原因であり、小手先の工夫をしたところで、簡単には増やせないだろうとわかる。日本社会全体の「女性と教育」に関する価値観が変わり始めた時、徐々に増えていくのではないだろうか。

 

【参考URL】
東大が悩む女子学生「3割の壁」 世界に遅れるジェンダーギャップ解消 | NHK
上野千鶴子「私が東大祝辞で伝えたかったこと」 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
声をつないで:女子の大学進学 東京と鹿児島で格差2倍超 10県は30%台どまり | 毎日新聞
令和4年度東京大学大学院入学式 総長式辞 | 東京大学
なぜ、娘の東大受験に猛反対する母親が多いのか? | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「マララの翼切らなかっただけ」平和賞の父、教育を語る:朝日新聞デジタル

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