「美容男子」で得することは?誰かのためでなく、自分のために装いたい

「美容男子」で得することは?誰かのためでなく、自分のために装いたい

「美容男子」で得することは?誰かのためでなく、自分のために装いたいフリーライターの小林なつめです。

 

美容と私

ここ数年、コロナ禍のため在宅時間が増えた影響もあってか、美容やファッションで自分磨きをする男性が増えてきているらしい。このようなニーズの増加に伴って、メンズ用のコスメやユニセックスの洋服など、ジェンダーレスなファッションアイテムを目にする機会も多くなった。

私自身は女性だが、マニッシュなスタイルが好みで、ファッションにはそこそこ関心があるが、美容にはあまり興味がなく、メイクやアクセサリーもあまりしない。でも誰かがメイクを楽しんだり、アクセサリーやファッションでおしゃれしたりしているのを見るのは好きだ。その主体が男性であれ女性であれ。

 

「美容男子」の某芸人の発言を耳にして

つい先日、情報番組で「美容男子」の特集が組まれていた。そこには「美容男子」を公言する某お笑い芸人が出ていた。彼はおすすめの美容法やアイテムを紹介した後、「美容に取り組んでいて、何か得することはあるか?」と尋ねられ、少し戸惑いながらも「特にない」と答えていた。私はそれをシンプルでとてもいいなぁと感じた。

なぜなら彼は誰かのために美容に取り組んでいるのではない。他でもない「自分のため」に、自分が「きれいでいたいから」している。打算なく、「特に得することもないけれど、やりたいからやっている」のだ。この在り方こそが、美容やファッションを楽しむ本来の姿なのではないかと感じた。

 

女性と「装い」の歴史

この点から考えると、女性が服装やメイクで装うことは目的ありきというか、するかしないかの選択肢もない、半ば義務、やって当たり前のものになっている節がある。例えば就活や職場におけるスカートやメイク、ヒールのある靴もそうだ。国内で「#KuToo運動」が盛り上がりを見せたのは記憶に新しい。イギリスやアメリカ、カナダでも同様の問題が取り沙汰されている。

これまでの長い歴史の中で、女性たちはファッションやメイクの在り方を常に模索し、道を切り拓いてきた。元々は女性の服装としてタブーとされていたパンツスタイルやミニスカートは、女性たちが運動を通して権利を獲得してきたものだ。

 

「装い」と性別、その未来

女性に限らず、美容やファッションは自己表現の1つだ。しかし圧倒的に女性の方が選択肢に恵まれている。男性がおしゃれをしたいと思っても、社会の抑圧によって、できる格好は限られている。今でこそ、ベースメイクをする男性は増えてきているが、もっと華やかなメイクをしたり、スカートやワンピースを着たりするには、いまだ遠く及ばない。誰もが好きな美容を、服装を、ただ望むままにできる社会は、いつかやってくるのだろうか。

 

【参考URL】
■ KuToo運動とは – コトバンク
【歴史】60年代のファッション – パンツスタイルとアメトラ – ファッションプレス
時代とともに移り変わった女性のパンツ・スタイル 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ミニスカートをめぐる論争。ニュールックからフィービー・ファイロ、そしてエディ・スリマンまで。 | Vogue Japan

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